読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、そして近年ブームのアドラーまで、脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

リアリティは部分/全体であるホロンから構成されている

ホロンとは、アーサー・ケストラーが作った造語で、「ある文脈において全体であると同時に別の文脈で部分である単位のこと」を指します。 ケンウィルバー著「進化の構造Ⅰ」のp57にこう書かれています。 実在/現実(リアリティ)はモノあるいはプロセスか…

「縁」の入れ子

元日のブログで「さらにこの大きなヘキサ・キューブ形の中には、無数の小さなヘキサ・キューブがぎっしり詰まって並んでいると想像する。」と書いた。 これをもう少し、華厳経の世界観であるインドラ網、そして入れ子状のフラクタル構造(注1)を取り入れて…

次元が上がると「一つ」に見える

経営マトリックス研究所のマークであるヘキサ・キューブ(hexa-cube)について、また新たなことに気がついたので、今回はそれを書きます。今年1月1日のブログ「次元を行き来するヘキサキュ―ブ、元日の夢」の続編です。 (上の図表は次元を理解する参考にして…

いつも「意識を意識しておく」

コトバで表現すると何を言っているのか分からないようなことですが、この感じを何とか是非とも書き留めておきたいと思い、書いています。 日常のなかで、いつも、四六時中、どんな時でも、なんと言っても、大切なのは、「意識を意識しておく」ことだというこ…

「自己ぎりの自己」とワン・テイスト

前回の続きです。 『〈仏教3.0〉を哲学する』p110に出てくる内山興正氏の描いた第5図について永井均氏はこう話されていました。 「わが生命」は中に入っていないで、外に出ているんです。その一員として何かヤリトリはしていないで、その様子を外から見てい…

〈私〉と、疑いようのない意識

ケンウィルバーの『存在することのシンプルな感覚』(The Simple Feeling of Being)は、訳者松永さんも言われたように最終章がたいへん素晴らしいのですが、私は「目撃者」とタイトルがふられた第1章にも大いにインスパイアーされました。その中に『〈仏教3…

弁証法的行動療法(DBT)

(出所『弁証法的行動療法実践トレーニングブック』) 禅の原理、そしてマインドフルネスとアクセプタンスを全面的に取り入れた新世代の認知行動療法の一つである弁証法的行動療法(dialectical behavior therapy:DBT)の概略に触れてみたいと思います。 DB…

12因縁を断ち切るマインドフルネス

最近、身の回りで起こっていることが「過去にこういうことが起こったので、今になってこうなってしまった」というようなストーリーで解釈されることがままあり、その度に、心の奥で、そうではあるが、いやいや違う、そうではない、と感じていました。 それが…

ポイエーシス的な働き方

NHK「100分de名著」昨年12月の名著はレヴィ=ストロースの『野生の思考』であった。 この概念を伝えるのは難しいのではないかと思われたが、中沢新一氏の巧みな解説と伊集院氏のコメントがよく効いて興味深く見ることができた。今朝その第4回目を見直してい…

「実存としての自己」を直覚させる「あなたはあなた」

「かぶき者慶次」という時代劇を見た。関ケ原の戦いの後、石田三成の子を前田利家の甥にあたる前田慶次がかくまって、上杉家の領地である米沢の地で秘かに育てているという設定である。前田慶次は実在した人物だが、石田三成の子はドラマでの名は新九郎とい…

〈自己=世界〉と「常に現前する気付きの意識」

『仏教3.0を哲学する』のp110、P111に描かれている第五図、第六図がとても興味深いです。この絵にあるような「自己ぎりの自己」すなわち〈自己=世界〉を実感を持って確立するためにはどうすれば、あるいは「どうあれば」いいのだろうかということを改めて考…

生きかた知縁カフェ 4月度はお休みです。

脳科学の視点を取り入れ、ウィルバー哲学、マインドフルネス、ACT、アドラー心理学、対称性人類学などを横断的に学ぶ勉強会です。ソーシャルビジネス、共有型経済、贈与経済への展開も視野に入れ、交流します。 【生きかた「知縁」カフェ 4月度はお休みです…

次元を行き来するヘキサキューブ、元旦の夢

新年あけましておめでとうございます。 元日に新しい会社の商号「経営マトリクス研究所」のマークの初夢を見た。これは正夢である。 2次元平面に描く正六角形(ヘキサゴン:hexagon)は、3次元の立方体(キューブ;cube)にも見えるという考えてみれば不思議…

人生への贈りもの、意識の野への贈りものに感謝して生きる

昨日は、娘の結婚式だった。素晴らしかった。感無量とはこのことを言うのだろう。 そして昨夜、2年前に何度も見たあの名作「素晴らしき哉、人生」が再放送されていたのでそのエンディング(自殺しようとしたジョージが天使に「彼が存在しなかった世界」を見…

人類進化から見た本来の育児は「共同養育」

昨日(12月7日)のNHK朝ドラ「べっぴんさん」を見ていて、あーこれは「共同養育」のことを言っているなと思いました。 喜代:どうしても手のかかる子はいます。いい悪いやなくて、人の何倍も手のかかる子はいるんです。昭一:どうしたらいいんでしょう?喜代…

「経営マトリクス研究所」

姫路市においていた有限会社をこちら(大阪府茨木市)に移転登記し、ついでに商号も変えて、年初に再出発しようと先月からいろいろと考え抜いて、決めた社名が「経営マトリクス研究所」である。 「経営」はともかく、なぜ「マトリクス(orマトリックス)」な…

無我とは本質なき実存、主体としての空

〈画像はintegrallife.comの Integral Mindfuinessより〉 藤田一照氏、永井均氏、山下良道氏鼎談『〈仏教3.0〉を哲学する』を見ております。 第1章に、「無我と本質と実存」という節があり、たいへん興味深く読ませていただきました。主に永井氏によるコメン…

これらは実は〈中〉だった!クラインの壺の神秘

眼から外の世界に見えているもの テーブル、椅子、棚、床、窓、カーテン、外の景色、自分の手足 などなどのこれら 両腕を後ろに回して、手の甲を重ねてみる 蝶が翅を閉じているときのように そこから、ゆっくりと、巨大な岩の扉を開くように 周りに見えてい…

生きかた「知縁」カフェ第3回についてのお知らせ

今年の9月25日に出版された3人の鼎談からなる『〈仏教3.0〉を哲学する』がとても面白いです!! このことを受けて、第3回の生きかた「知縁」カフェの3つ目のテーマとして、以下の内容を書き添えました。 「観察者としての自己」を取り上げ、藤田一照氏、永井…

Meditationの測定?

高額なEEG(脳波、Electroencephalogram)測定器でなくとも何とか参考になる程度でもいいからマインドフルネス瞑想の状態を確かめたいと思い、MUSEというヘッドバンド方式の簡易測定器を購入して試行中です。 スマートホンにアプリをダウンロードして、額に…

アテンションのスタイルを自在に選択する

前回のブログでフェーミ博士の唱えるアテンションのスタイル「ディフューズ/オブジェクティブ」「ディフューズ/イマースト」とあわせて、次回に「前景と背景を等しく見る」を取り上げる、と書きましたが、それに先立ちまして、フェーミ博士の唱える「オープ…

状況とシンクロする、全体に整合する

マイケル・キャロルの『THE MINDFUL LEADER』を読んでいて、特に注目したのはPART3に出てくる「環境とシンクロする」あるいは「状況とシンクロする」という言葉です。 言うまでもなくユングの唱えたシンクロニシティの意味合いをも含んだ言葉であると考えら…

無所住心で囚われを捨てる

NHKスペシャルの「キラーストレス」とEテレの「マインドフルネス」が放送された直後に出版された熊野宏昭さんの「実践マインドフルネス」に、脱フュージョンの次のステップとして、「場としての自己=注意を無数に分散する」という実践が紹介されています。 …

第4回生きかた「知縁」カフェ

脳科学の視点を取り入れ、ウィルバー哲学、マインドフルネス、ACT、アドラー心理学などを横断的に学ぶ勉強会です。ソーシャルビジネスへの展開も視野に入れ、交流します。 【生きかた「知縁」カフェ第4回 内容】 ①今回のテーマ:最近のブログから「人類進化…

国立がんセンターでACT外来が!(生きかた「知縁」カフェ第1回のPR)

国立がんセンターに「ACT外来」ができています。これは正直驚きました。しかも保険診療です。www.ncc.go.jp 内容を以下に転載させていただきます。 ACT外来では、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を通して、(1)がん体験に伴って生じる悩みと…

マインドフルネス・ムーブメントが日本に?

2016年8月5日発行の精神療法~特集マインドフルネスを考える、実践する~が本日届きました。 寄稿されている先生方のうち、名前を存じている方も多く、書籍を読んだり、勉強会で取り上げたり、直接学んだりした内容もあってたいへん興味深いです。 まず、「…

過去との共同体感覚

6月26日に「未来との共同体感覚」について書きましたが、今回は「過去との共同体感覚」について下記のブログにアップしました。 エスビューロー事務局長のブログ: 過去との共同体感覚 同じ内容をそのままこちらのブログにも以下に掲載します。 過去との共同…

脳科学で証明されるマインドフルネスの効果

昨日NHKで放送されたサイエンスZEROに熊野宏昭氏(東京大学博士(医学)で現在早稲田大学人間科学学術院教授、応用脳科学研究所所長)が出演し、マインドフルネスの最近の科学的な知見について解説がありました。 番組では、まず仕事の効率化やストレス低減…

なぜ「他者への関心」がうつに効くのか?(知縁カフェ予告編)

先日、私どものNPOが主催した岸見一郎氏の講演会で「他者への関心(social interest)」をもつことは、「うつ」に効果があるという話が聞かれました。 なぜ、アドラー心理学でいう「他者への関心」が、「うつ」に効いたりするのでしょうか? 来月から始まる…

生きかた「知縁」カフェ、はじめます!

勉強会「生きかた知縁カフェ」第1回(9/17)を開催します。 知的好奇心が強く心理哲学的なアプローチと脳科学など最新の科学を融合させたい定年前後のシニアの方々の参加を想定していますが、「生きかた」に関心のある方ならどなたでもOKです。 NPOの審査や…

未来との共同体感覚

NHKの「100分de名著」2月の放送は、昨今ブームのアドラーが取り上げられました。解説はベストセラー「嫌われる勇気」(135万部)の著者で哲学者の岸見一郎氏です。25分(番組)×4回=100分で名著を読み解いていきますが、その第4回のテーマは「共同体感覚」…

エネルゲイア、それは「生命の躍動」を感じて生きること

岸見一郎氏の「嫌われる勇気」を読んで、終盤に出てくる「エネルゲイア」という言葉に注目しました。 このブログに書いている、「今ここ」「プレゼンスの持続」「マインドフルネス」「道」などとの共通性を感じましたが、今回は「生命(いのち)の躍動」との…

ブログ移行中です。

このブログは現在移行中です。 http://blog.zaq.ne.jp/nagamasa/ 上記のブログサービスが12月で終了するため、漸次移行を行っておりまして、文章については移行が完了したが、画像とリンクについてはまだ移行中です。 もし以前のブログをお読みになる場合…

微かだが大切な、内なる躍動

朝から、長引く風邪に体調もすぐれず、諸事あまり良いとは言えない状況にあって、気分もやや落ち込んでいた。 年末年始に掴みかけていたあのビジョン、意欲、情熱は、もはやいずこに過ぎ去ったかと思われた。 しかし・・・、おっと、そうであった。 こういう…

『寛容論』を実践する、すなわち脱ペインボディ。

昨年1月のパリのテロの後、フランスの思想家ヴォルテール(1694-1778)の著書である『寛容論』が10万部のベストセラーになったといいます。 今月の2日に放送された『100分de平和論』で作家の高橋源一郎さんが取り上げた名著です。 トゥールーズのプロテスタ…

円相(円窓:えんそう)を常に意識する

忘れてはいけないイメージ。 今この瞬間の「意識の野」に、鳥の声、朝の匂い、窓からの景色など、すべてのものが生じている。 その気づきを忘れないでおくこと。 その気づきを常に思い出すこと。 その気づきのイメージは楕円のような気がしていた。 その気づ…

「不即不離」という対人関係のフローを実現する

森田療法の勉強を始めました。そして森田正馬先生の『自覚と悟りへの道』を読み進めていく中で、自分にとって大切な人(上司、顧客、恋人、友人etc.)との関係のとり方について、たいへん興味深いと思われる部分がありましたので紹介して考察してみたいと思…

離れ内、重ね外

前回のブログで「離れ内、近く外(笑)」と書きました。長々と書き記したコンセプトを短い言葉で覚えやすいように、どう表現しようかと何回か修正したあげく、この表現に行きついたのでありました。 「はなれうち、ちかくそと」と読んでもらっていいのですが…

離れ内、近く外〜自己認識の変容〜

福は内、鬼は外 節分の豆まきの言葉であるが、家の玄関を境界として、幸福をもたらしそうなものはどうぞお入りください、不幸をもたらしそうなものはどうか外へ、という掛け声である。しかしながらそうすると、外の世界は鬼ばかりいる怖いところになってしま…

脳の遠隔領域が同期同調するデフォルト・モード・ネットワーク

今回は脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を取り上げたいと思います。 NHKのサイエンスZEROで2014年6月22日に “ぼんやり”に潜む謎の脳活動 として特集さました。 https://www.youtube.com/watch?v=R2aswoQtMDI 以下にその概略をメモしました。 (…

注意で脳は変えられる(注意と可塑性の関係)

『脳を変える心』(シャロン・ベグリー著 茂木健一郎訳)は、2004年にダライラマ14世のもとに脳神経学者が集い、心と脳についての対話を行った記録ですが、脳の可塑性、神経可塑性について詳しく書かれています。 「可塑性(かそせい)」とは、固体に外力を…

Aware Presenceと、Ever-Present Awareness

ルパート・スパイラはその著書『プレゼンス』のなかで、「わたしとは誰か、なにか?」という問いに対して、「わたし」とは「Aware Presence(気づいている現存)である」といっています。 これと似た表現にウィルバーのEver-Present Awarenessがあります。 …

役割取得能力レベル0の補足

過去のブログで取り上げた「セルマンの役割取得能力の発達段階」のうち3歳~5歳の自己中心的役割取得能力に関して、質問がありましたので下記に補足しておきます。 Interpersonal知性と、セルマンの役割取得能力 - ウィルバー哲学に思う レベル0の説明を『…

コぺルの鏡で、こころの闇から抜け出す

このブログでも過去に何回か取り上げたことのある清水博先生の作品『コペルニクスの鏡』いのちの居場所に、いのちを使う - ウィルバー哲学に思う を読み返していて、新たな発見や深く感じ入るところなどが多くありました。 今回はその序盤から少し紹介させて…

スクリーンに映った過去、未来、あなた、彼

前回のブログで わたしたちは、記憶や言葉のおかげで現在の直接経験だけではない、過去の経験、未来の経験を、私の経験だけではない、あなたの経験、彼の経験を生きてしまっているのだ。 と書いた。しかしこの表現はやや混乱していることに気づいた 直接経験…

二種類の現在と直接経験

入不二基義さんの『ウィトゲンシュタイン~私は消去できるか~』(NHK出版)のなかにウィトゲンシュタインのいう現在および直接経験についての解説が興味深かったので、ここに紹介させていただく。(以下p75~p76から引用) 物理的な事実と直接経験の違い…

〈私〉と〈今〉は同じものの別の名

哲学者である永井均さんの著書『私・今・そして神』の中に、注目すべき表現があったのでその部分に線を引いた。それは「開闢(かいびゃく)の奇跡」という節のなかに書かれている。(以下、P40~p42より引用) ある名付けえぬもの ・・・ まあ、基本的には、…

必ずしも意図していないものを読み解くという楽しみ方

脳内ポイズンベリーという映画を観た。 若い男女の三角関係がストーリーの恋愛映画で、映画館も若い人が多く、少々気恥ずかしい感じがした。 にもかかわらず、わざわざ見に行こうと思ったのは、主人公の脳の中にポジティブ、ネガティブ、衝動、記憶、そして…

インドラ網として万物に証せられた自己

2012/1/9のブログにヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェの著書から引用してこのように書いた部分がある。 『華厳経』という古い仏典にはこう書かれています。宇宙とは無限の網であり、ヒンドゥー教の神インドラ(帝釈天)の意思によって生じた。この無限の網の…

心の形成物≒ペインボディ≒認知的フュージョン

五蘊(ごうん)、とくにその第4である「心の形成物」(mental formation)の相互依存性ということを考えているうちに、ティクナット・ハン師のいう「心の形成物」とエックハルト・トールのいう「ペインボディ」、そしてさらにACT(アクセプタンス&コミットメ…