ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラーなど、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

追いつめて服従させる「レッド組織」

(出典:フレデリック・ラルー著『ティール組織』) 日大アメフト選手の記者会見、その後、日大の監督とコーチの記者会見を見ていて、森加計問題に引き続き、また出た、エルサレムのアイヒマン現象!と思いました。そしてさらに、ああ分かった、この組織(日…

「見せかけの不運」から「高次の秩序」へ

3月6日のブログで『見せかけの不運』について書いた。 ある出来事を、その出来事単独で、その時の自分にとって好ましい事、好ましからざる事で分けて、あれは良い出来事、これは悪い出来事、前回は幸運な出来事、今回は不運な出来事というように判断する。人…

理財局における二重思考と『君たちはどう生きるか』

前回のブログで では理財局の彼らの頭の中ではこの「法の秩序と維持」を尊重するという道徳意識と、決裁文書の改ざんという違法行為がどのように彼らの頭の中で調整されたのでしょうか? その答えのキーワードはスペシャル番組「100分deメディア論」で語られ…

財務省官僚にみる「エルサレムのアイヒマン」現象

前回に引き続き、森友問題における財務省理財局の対応について感じたことを書きます。 昨年9月に放送された、100分de名著『ハンナ・アーレント』の第4回でナチスの中佐でユダヤ人の強制収容所移送の責任者であったアイヒマンの裁判のことが取り上げられてい…

病理的・支配的ヒエラルキーとしての森友問題

昨日の元財務相佐川理財局長の証人喚問にまで至った一大スキャンダルの森友問題であるが連日の国会の答弁やマスコミに報道を目にしながら、これはウィルバーのいう「病理的・支配的ヒエラルキー」によって引き起こされた問題であると思った。 ヒエラルキー(…

見せかけの不運と、無「本質」化

この1か月ほど前に、ネガティブな出来事があり、その対応のため少々苦慮してきた。 しかし、そんな中で、ジョン・レノンの息子であるショーンがNHKの番組『ファミリー・ヒストリー』に出演していた時に話した「ママはよく、これは見せかけの不運だってい…

楽観性を育むマトリックス

先日、わが子の結婚式があり、新郎の父としてあいさつする機会がありました。 接する機会が多いほうともいえず、良い父親とは決していえない立場ではありましたが、20数年を振り返ってみて、ともあれ楽観的な性格に育ってくれたことに感謝し、過去のエピソー…

純粋に空なる意識(Pure empty awareness)

前回の元日のブログを検証しようと思って『存在することのシンプルな感覚』からきっかけとなった文章を改めて確認し、他にもわが意に近い文章はどれであろうかとページをめくってみた。 まず、「状態」という表現のきっかけとなったのはp119-p120の以下の文…

状態に気づいている「状態」

あけましておめでとうございます。初ブログを書きました! **************************** 元日の朝の目覚めのあとにどのような言葉が頭に浮かぶのか? これは自分自身としても、興味があることだ。 2018年の初夢ならぬ初想起、…

「目撃者の自己」と「複雑系の自己」

ウィルバーのいう「目撃者としての自己」と、ここ何回か記事で取り上げてきた「複雑系としての自己」を対比させて示せないかと考えて以下のような図を描いてみた。 上図は「目撃者としての自己」(目撃者の自己)の広がりを私なりに示したものだ。I(個人の…

徹底的な安心感とマトリックス

平成29年6月10日のブログで吉福伸逸氏のいうマトリックスのことを書いた。それはエネルギー源の提供、徹底的な安心感、排泄物の処理という3大機能をもち、子どもの成長とともに子宮から、母親、そして家庭、自然界や仲間、会社へと移行していく。 nagaalert.…

新たな認識は新たな世界を生成する~世界内認識の複雑系~

nagaalert.hatenablog.com フランシスコ・ヴァレラの『身体化された心』を参照し、2013年5月5日のこのブログで私はこう書いた。 すなわち、現実とは自己と世界の間で共創される複雑系であるということだ。私は今まで相互依存性を右下象限の性質であると何と…

ソーシャルビジネス、NPOの経営戦略

日本政策金融公庫のメルマガに「NPO経営戦略10のステップ」というものを株式会社PubliCo代表の山元圭太氏が紹介されていて興味深かったので適用してみたいと思います。 まず、10のステップとは以下のA~Jです。 Ⅰ.社会を変える計画 A.組織使命(Vis…

インフレーションの「真空のエネルギー」と空の充溢

「複雑系としてふるまう創造的進化の原動力」としてのエラン・ヴィタールと、私たちの「内なる躍動」が共振するのではないだろうか?と考えています。 そしてその共振する感覚こそ「生命の躍動」であり、その感覚は望ましい生き方のシグナルなのではないでし…

複雑系とは?散逸構造と自己組織化、創発と相転移

複雑系とは何か?ネット検索してみると出てくるのはこういう解説だ。 多くの要素からなり、部分が全体に、全体が部分に影響しあって複雑に振る舞う系。従来の要素還元による分析では捉とらえることが困難な生命・気象・経済などの現象に見られる。高精度の測…

エラン・ヴィタール(elan vital)「生命の躍動」

このところ「生命の躍動」というキーワード、この言葉で体系的に整理できれば面白いのではないかとあれこれ考えていました。そして今日やっと以下の図のように自分の中で関連すると思われる言葉を洗い出してみました。 最近このブログで取り上げた内容もあれ…

マトリックスと共同体感覚

ケン・ウィルバーの『意識のスペクトル1・2』『アートマン・プロジェクト』『無境界』などを翻訳された吉福伸逸氏の遺稿でもある本書。『世界の中にありながら世界に属さない』というタイトリルに惹かれ、1年ほど前に購入しました。 そしてこの数日、再び目…

本質の無化から、無「本質」的分節へ

前回に引き続き井筒俊彦氏の『意識と本質』を見ていく。 本論に入る前に、井筒氏の使用する「分節」あるいは「無分節」ということばであるが、『意識の形而上学~大乗起信論の哲学』のなかでこう解説されている。 仏教古来の術語に「分別」という語があって…

表層意識における概念的「本質」

井筒俊彦著『意識と本質』では、否定的な本質論と肯定的な本質論、表層意識レベルの本質論と深層意識における本質論などなどについて語られている。そのはじめとして今回取り上げる「本質」は表層意識レベルの本質であり、概念的な本質、禅で徹底的に否定さ…

1/allではなく、all/allとして観るために

『〈仏教3.0〉を哲学する』のp218で藤田一照さんがいいます。 (以下引用) それで二つの自己というのを、すでに内山老師は言っていて、僕らは普通には1/all(オール分の1)という自分を自分だと思い込んでいるっていうんですよ。これが今までの議論だと平…

リアリティは部分/全体であるホロンから構成されている

ホロンとは、アーサー・ケストラーが作った造語で、「ある文脈において全体であると同時に別の文脈で部分である単位のこと」を指します。 ケンウィルバー著「進化の構造Ⅰ」のp57にこう書かれています。 実在/現実(リアリティ)はモノあるいはプロセスか…

「縁」の入れ子

元日のブログで「さらにこの大きなヘキサ・キューブ形の中には、無数の小さなヘキサ・キューブがぎっしり詰まって並んでいると想像する。」と書いた。 これをもう少し、華厳経の世界観であるインドラ網、そして入れ子状のフラクタル構造(注1)を取り入れて…

次元が上がると「一つ」に見える

経営マトリックス研究所のマークであるヘキサ・キューブ(hexa-cube)について、また新たなことに気がついたので、今回はそれを書きます。今年1月1日のブログ「次元を行き来するヘキサキュ―ブ、元日の夢」の続編です。 (上の図表は次元を理解する参考にして…

いつも「意識を意識しておく」

コトバで表現すると何を言っているのか分からないようなことですが、この感じを何とか是非とも書き留めておきたいと思い、書いています。 日常のなかで、いつも、四六時中、どんな時でも、なんと言っても、大切なのは、「意識を意識しておく」ことだというこ…

「自己ぎりの自己」とワン・テイスト

前回の続きです。 『〈仏教3.0〉を哲学する』p110に出てくる内山興正氏の描いた第5図について永井均氏はこう話されていました。 「わが生命」は中に入っていないで、外に出ているんです。その一員として何かヤリトリはしていないで、その様子を外から見てい…

〈私〉と、疑いようのない意識

ケンウィルバーの『存在することのシンプルな感覚』(The Simple Feeling of Being)は、訳者松永さんも言われたように最終章がたいへん素晴らしいのですが、私は「目撃者」とタイトルがふられた第1章にも大いにインスパイアーされました。その中に『〈仏教3…

弁証法的行動療法(DBT)

(出所『弁証法的行動療法実践トレーニングブック』) 禅の原理、そしてマインドフルネスとアクセプタンスを全面的に取り入れた新世代の認知行動療法の一つである弁証法的行動療法(dialectical behavior therapy:DBT)の概略に触れてみたいと思います。 DB…

12因縁を断ち切るマインドフルネス

最近、身の回りで起こっていることが「過去にこういうことが起こったので、今になってこうなってしまった」というようなストーリーで解釈されることがままあり、その度に、心の奥で、そうではあるが、いやいや違う、そうではない、と感じていました。 それが…

ポイエーシス的な働き方

NHK「100分de名著」昨年12月の名著はレヴィ=ストロースの『野生の思考』であった。 この概念を伝えるのは難しいのではないかと思われたが、中沢新一氏の巧みな解説と伊集院氏のコメントがよく効いて興味深く見ることができた。今朝その第4回目を見直してい…

「実存としての自己」を直覚させる「あなたはあなた」

「かぶき者慶次」という時代劇を見た。関ケ原の戦いの後、石田三成の子を前田利家の甥にあたる前田慶次がかくまって、上杉家の領地である米沢の地で秘かに育てているという設定である。前田慶次は実在した人物だが、石田三成の子はドラマでの名は新九郎とい…