インテグラル理論
前回の続きです。 アイデンティティの最も高いStageであるAbsorptive−Witnessing段階の特徴の二つ目は、「目撃認知へのアクセスの増加」(Increased Access to Witnessing Cognition)です。P153のこの節を読み、これと関連したP77の「認知の発達ライン:ポ…
MARK D.FORMANのa guide to integral psychotherapyという本からP150「Stage6:Absorptive−Witnessing:段階、病理、同一化の特徴」という節を見ています。 (以下抜粋拙訳) ウィルバーは著述を通じてある考えを強調してきました。それは社会的規範を超え…
前回のブログで自己同一性の発達ラインの最も高い段階としてAbsorptive-witnessing があることをみました。Witnessについては今まで何度も取り上げてきましたが、Absorptiveについて理解を深めようとあれこれ見ていくうちに「フロー(flow)」に行きつきまし…
「わたくし、すなわちNobody」とは2007年に46歳の若さで、がんで亡くなった池田晶子さんの著作をマネジメントしているNPO法人の団体名称です。すぐれた文芸作品に対して「わたくし、すなわちNobody賞」を授賞することもしています。 知っているNPO法人…
子どもを小児がんで亡くした母親を対象としたアンケートを整理していて、あらためて葬儀が大きなストレスになっていることを認識しました。葬儀だけでなく49日までの法要であったり、納骨のことであったり、一連の弔いの行事全般が母親を中心とする家族に…
前回のブログの続きです。インテグラル理論の「タイプ」のひとつであるエニアグラムを考察しています。 エニアグラムのそれぞれのタイプには、健全なレベル、通常のレベル、不健全なレベルという1から9のレベルがあります(レベル1が最高、レベル9が最低…
京都でのケンウィルバー勉強会の5回目に「タイプ」の学習としてエニアグラムが取り上げられる予定になっていることから、「エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ」(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著 角川書店)を読みました。 これがなかなかに…
「納得がいかない」ことが時として起こります。この「納得がいかない」こととは何でしょうか? 私たちの多くは合理的に物事を理解できるように教育を受けてきています(基本的にオレンジの教育を受けているといえます)。投げたボールが落ちてくるのは万有引…
先日、2日連続でインテグラル理論の集まりに参加しました。私にとって出会って間もない人たちとインテグラル理論について話し合うことは初めての経験でした。 しかし、とても刺激的だったのです。時間があればまだまだ内容は深まって行きそうでした。ひとり…
Eckhart Tolleは私も好きで過去に何回かこのブログでも取り上げています。その著作「The Power Of Now」や「Stillness Speaks」そして「A New Earth」などはウィルバー哲学を理解する上で大変役に立ちました。そうしたこともあって以前からウィルバー(ある…
今回はMoralのラインを取り上げたいと思います。まず慣習というものを一つの基準としてそれに合わせることのできる前の段階、慣習に合わせる段階、そして慣習を超えていく段階に大きく分類したコールバーグによる道徳性発達段階がよく知られています。そして…
実存的な能力については、ガードナーのいう多重知性の9番目の知能の候補であるExistential Intelligenceのことを4月14日のブログで取り上げました。 そして、先月末に出版された「インテグラル理論入門Ⅰウィルバーの意識論」(春秋社)の「第7章 インテ…
今回はEQを取り上げようとして、ゴールマンの”Emotional intelligence”邦訳「EQ こころの知能指数」を購入し、その他にもウィキペディアやEQジャパンのウェブサイトなどに目を通しました。前回のInterpersonal知性で取り上げたセルマンのような明確な発達…
「VIFによる思いやり育成プログラム」という渡辺弥生さん(編)の本が届きました。ウィルバーのAQALインテグラル理論にあるInterpersonalの発達ラインの主要な研究者として名前が挙がっているセルマンの「役割取得能力の発達段階」の本「(邦訳)ペア・セ…
NHKで「無縁社会」という特集を何回か見ました。一昔前であれば多くの人が地縁血縁という地域のコミュニティに帰属して「私たち」と言える居場所を得、一方ビジネスマンたちは会社というコミュニティで「私たち」という次元(AQALの左下We)を確保してき…
昨年12月に米国元大統領ビル・クリントンが語った内容が掲載された Bill Clinton discusses Ken Wilber in recent Foreign Policy interview というブログの記事をIntegral lifeのウェブサイト内に発見しました。 "I was influenced by Ken Wilber's book A …
10年前に私自身が陥っていた非視点的狂気とは何であったか?もう一度少し整理をしてみたくて「進化の構造」と「万物の歴史」からいくつか関連した文章を抜粋してみました。 以下「進化の構造」より抜粋 P308「緑の運動」は本質的にマルキシズムと同じ欠陥を…
Integral Visionの第5章でA Pre-Rational Mythic God and a Trans-Rational Unitive Spirit という節があり、前合理的、合理的、超合理的という段階において、超合理的は、前合理的と同様に非合理的であるとして同一視されてしまう「前/超の錯誤」について…
先日、「おくりびと」を見ました。以前に、映画館で見たので今回が2回目です。映画館で見たとき以上に涙が出ました。たいへん良かった気がします。見ていたときに気づいたのですが、この映画は、世界観としてはアンバーvsターコイズが描かれており、AQALとし…
おしゃれでカラフルなCDジャケットのようなウィルバーの本Integral VisionにIntegral Medicineの記述がありましたので紹介します。(以下拙訳) 医療ほど、早速に応用できるIntegralモデルはどこにもありません。そして世界中のヘルスケアの実践者によってま…
「グリーンを超えて」は私がブログを書き始めた当初のスローガンのひとつです。私はケン・ウィルバーを読んでそれまでグリーンに重心をおいていた自分を客体として眺めることができるようになりました。自分と同じようにフラットランドで迷子になっている人…
ウィルバーのIntegral Life Practice のLevels of Consciousness の節のなかのP77に興味深い文章がありましたので紹介させていただきたいと思います。(以下、拙訳) これは私たちの個人的進化にとって何を意味するかというと、私たちは意図的に、意識と慈悲…
インテグラルジャパンの鈴木規夫氏の記事からヴィジョンロジックは3段階に分けられることを知り、インテグラル・スピリチュアリティの第2章「意識の段階」とあわせて吟味することで大変理解が進みました。 ヴィジョンロジックの第1段階はIndividualistです。…
万物の歴史ではp294-p295を境に、進化の構造Ⅰではp414-p415を境にヴィジョン・ロジックの段階でおこる実存的病理からの突破(ブレイクスルー)の様子が描かれています。 進化の構造p413ではトルストイの言葉を引用してその苦悶を表現しています。 50歳になっ…
私がはじめてケン・ウィルバーの著作を手にしたのは「万物の歴史」でした。あの「眼からうろこが落ちた」と感じたのはどこだったか?3日ほどパラパラめくっていて、先ほどやっと見つけました。完璧に書かれています。すばらしいです。まず、p302にこうありま…
ウィルバーのインテグラル・スピリチュアリティの第7章のタイトルは『「私たち」という奇跡』です。これは、AQALの左下の象限についてそれを内側から見たゾーン3と外側から見たゾーン4について書かれています。この象限についても一定の理解をしているつも…
本音とは本心から出た言葉であり、本音を漏らすとか本音を吐くというように、従来はネガティブな文脈で使われることが多かったように思います。しかしながら最近は「本音で語ろう!」や「本音トーク」というように、包み隠さず本心を出すということで、それ…
ウィルバーのインテグラル・スピリチュアリティの第9章「コンヴェア・ベルトとしての宗教」のなかに「レベルとラインの混同」という節があります。言葉を拾って要約するとほぼ以下のように書かれています。 スピリチュアルな知性の「オレンジ」またはそれ以…
昨日に引き続き、偽善を生みやすいブーメリティスのことを取り上げたいと思います。特にこの論点は私自身が無遠近法的狂気に気づいたところでもあり、また私が係わっている医療やNPOの世界でよく認識しておかねばならないことだからです。最近はマスメディア…
2月11日に少し取り上げた偽善の構造について考えてみたいと思います。これは2006年08月08日(火)「特別扱いできない、という遂行矛盾」として書かせていただいたブログと共通点があります。 インテグラルジャパンの鈴木規夫氏の記事『Boomeritis Spirituality…