ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

ティクナット・ハン

心の形成物≒ペインボディ≒認知的フュージョン

五蘊(ごうん)、とくにその第4である「心の形成物」(mental formation)の相互依存性ということを考えているうちに、ティクナット・ハン師のいう「心の形成物」とエックハルト・トールのいう「ペインボディ」、そしてさらにACT(アクセプタンス&コミットメ…

「万法に証せらるる」素晴らしき哉、人生!

前回取り上げた「素晴らしき哉、人生!」の映画について書きます(ネタバレ注意です)。 原作はフィリップ・ヴァン・ドーレン・スターンという作者のTHE GREATEST GIFTという短編のようです。 ネットで調べてその日本語訳を読みましたが、映画と原作はかなり…

灰色の男たちの罠から抜け出し、ゆっくり動こう

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とこのブログで取り上げた過去のテーマとの関連を見ています。今回はACTの4つ目のコアである「今この瞬間との接触」です。私がごくごく簡単にまとめたACTのまとめは次のようなものです。 ACTその4 今こ…

人生の繰り出してくる問いに意味を見出しながら生きる

生きていく意味が分かりません、生きていく意味があるのでしょうか?と、もし尋ねられれば自分はどう答えるだろうか。 1ヶ月ほど前の研修をきっかけに、ぼんやりとそんなことを考えていたのですが、山田邦男氏の「フランクルとの〈対話〉苦境を生きる哲学」…

不快は追い払わず、息とともに観察する

ティクナットハンの「微笑みを生きる」(邦訳、池田久代)にはマインドフルネスのことが分かりやすく書かれています。 今回はその「感情の川」(p64)という節から、不快な感情とどう向き合えば良いかについて書かれている部分を紹介したいと思います。 (以下引…

「無意識の回避」から「意識的な受容」へ

ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)の勉強を進めていて、あらためて思うのは、まず、われわれはネガティブな状況や出来事、そしてそれに反応する内面の現象を、無意識に避けようとする傾向があるということだ。 しかしそうではなく受け容れね…

ことば、そして「関係づける能力」の功罪

7月14日の「マインドフルネスで包んだ後にくる洞察」に対して、ACTと似ていますね、とコメントをくださった方があった。 ACTとはアクセプタンス・コミットメント・セラピーの略で「第三世代の認知行動療法」と呼ばれているとのこと、早速、”Get Out of Yo…

マインドフルネスの日

今回はティクナットハンのThe Miracle of Mindfulnessという本から、「マインドフルネスの日」を紹介したいと思います。きっとマインドフルネスに対するイメージが広がると思います。(以下引用拙訳) A Day of Mindfulness 毎日、毎時間、人はマインドフル…

マインドフルネスで包んだ後にくる洞察

ティクナットハンの「怒り」(岡田直子訳)を読んだ。 とても得るところが大きかったと思う。 恐れや怒り、不安、悲しみなどネガティブな感情(心的構成物)にどう向き合うか?が書かれていた。 その向き合い方はどの感情も同じだが、この本では特に人間関係を…

五蘊その5「識」―Consciousness

五蘊の無常、無我、相互依存性を看破する やっと五蘊の最終回です。今回は五蘊の5番目の「識」(Consciousness)とは何かということと、五蘊全体のまとめについてティクナットハンの解説を見てみたいと思います。 以下“The heart of the Buddha’s Teaching”p…

五蘊その4「行」―Mental Formations

自分のつくり出している「メンタル・フォーメイション」に気づく 五蘊の4番目は「行」です。英語ではMental Formationsと表現されています。まずは、Ayya Khemaによる「行」の解説です。(“Being Nobody, Going Nowhere”p122) (以下引用拙訳) さらにまた…

五蘊その3「想」―Perception

記憶によって条件づけられる知覚 「色(しき)受(じゅ)想(そう)行(ぎょう)識(しき)」という五蘊について順に見ております。今回は三番目の「想」です。 まずは、Ayya Khemaによる解説を見てみましょう。(以下、引用拙訳) 次に、私たちを構成してい…

五蘊その2「受」―Feeling

今回は五蘊の二つ目であるfeeling について、Ayya Khemaの“Being Nobody, Going Nowhere”で解説されている部分と、Thich Nhat Hanh が“The heart of the Buddha’s Teaching”で解説されている部分をあわせて見ていきたいと思います。 (以下引用拙訳) 五蘊の…

条件づけの要因、「嫌悪」を「哀れみ」へとシフトする

今朝、目が覚めて頭に浮かんだことは「怒りを哀れみに変えたらよい」という考えでした。 このことはミンゲールの本を読みはじめてから、折に触れ思うようになっていたことではありましたが、昨晩眠る前にティクナットハンの「禅的な生活のすすめ」を読んでい…