ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

マインドフルネス

インテグラル卓球Life

2019年の10月15日に「卓球の実践によるインテグラルへの波及」という稿を書き、卓球という活動がもたらす(と期待される)効果や影響を四象限(Quadrant)で示した。 また同年10月8日に「フローの条件として接戦で〈今〉にあること」を書き、当時の少ない経験か…

正しく怖れよ!有益な思考と無益な妄想

思考がお化けをつくり出していないか? それは、あらぬ妄想だ。 言葉と記憶によりサピエンスは食物連鎖の頂点にたったが、 今ここに危機はないにも関わらす、心は闘争してしまう。 サピエンスの背負った苦悩である。 コロナから「二本の矢」を受けてはならな…

フローの一条件として「接戦で〈今〉にあり続ける」こと

昨年の10月から卓球を再開して1年が経ちました。 最近になって「これはフローかも??」と思える瞬間があったので、今回は「フロー」をテーマに書いてみたいと思います。 フローについては何回かこのブログで取り上げています。 特に2010年の8月30日のブログ…

テロメアを育む!

テロメアを育む4象限アプローチ 2019年、新年明けましておめでとうございます。 今年の元日の記事のタイトルは『テロメアを育む!』です。 ノーベル医学生理学賞受賞者(2009)のエリザベス・ブラックバーン博士が、共同研究者で健康心理学者のエリッサ・エ…

楽観性を育むマトリックス

先日、わが子の結婚式があり、新郎の父としてあいさつする機会がありました。 接する機会が多いほうともいえず、良い父親とは決していえない立場ではありましたが、20数年を振り返ってみて、ともあれ楽観的な性格に育ってくれたことに感謝し、過去のエピソー…

いつも「意識を意識しておく」

コトバで表現すると何を言っているのか分からないようなことですが、この感じを何とか是非とも書き留めておきたいと思い、書いています。 日常のなかで、いつも、四六時中、どんな時でも、なんと言っても、大切なのは、「意識を意識しておく」ことだというこ…

12因縁を断ち切るマインドフルネス

最近、身の回りで起こっていることが「過去にこういうことが起こったので、今になってこうなってしまった」というようなストーリーで解釈されることがままあり、その度に、心の奥で、そうではあるが、いやいや違う、そうではない、と感じていました。 それが…

生きかた「知縁」カフェ第3回についてのお知らせ

今年の9月25日に出版された3人の鼎談からなる『〈仏教3.0〉を哲学する』がとても面白いです!! このことを受けて、第3回の生きかた「知縁」カフェの3つ目のテーマとして、以下の内容を書き添えました。 「観察者としての自己」を取り上げ、藤田一照氏、永井…

Meditationの測定?

高額なEEG(脳波、Electroencephalogram)測定器でなくとも何とか参考になる程度でもいいからマインドフルネス瞑想の状態を確かめたいと思い、MUSEというヘッドバンド方式の簡易測定器を購入して試行中です。 スマートホンにアプリをダウンロードして、額に…

アテンションのスタイルを自在に選択する

前回のブログでフェーミ博士の唱えるアテンションのスタイル「ディフューズ/オブジェクティブ」「ディフューズ/イマースト」とあわせて、次回に「前景と背景を等しく見る」を取り上げる、と書きましたが、それに先立ちまして、フェーミ博士の唱える「オープ…

状況とシンクロする、全体に整合する

マイケル・キャロルの『THE MINDFUL LEADER』を読んでいて、特に注目したのはPART3に出てくる「環境とシンクロする」あるいは「状況とシンクロする」という言葉です。 言うまでもなくユングの唱えたシンクロニシティの意味合いをも含んだ言葉であると考えら…

無所住心で囚われを捨てる

NHKスペシャルの「キラーストレス」とEテレの「マインドフルネス」が放送された直後に出版された熊野宏昭さんの「実践マインドフルネス」に、脱フュージョンの次のステップとして、「場としての自己=注意を無数に分散する」という実践が紹介されています。 …

第4回生きかた「知縁」カフェ

脳科学の視点を取り入れ、ウィルバー哲学、マインドフルネス、ACT、アドラー心理学などを横断的に学ぶ勉強会です。ソーシャルビジネスへの展開も視野に入れ、交流します。 【生きかた「知縁」カフェ第4回 内容】 ①今回のテーマ:最近のブログから「人類進化…

国立がんセンターでACT外来が!(生きかた「知縁」カフェ第1回のPR)

国立がんセンターに「ACT外来」ができています。これは正直驚きました。しかも保険診療です。www.ncc.go.jp 内容を以下に転載させていただきます。 ACT外来では、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)を通して、(1)がん体験に伴って生じる悩みと…

マインドフルネス・ムーブメントが日本に?

2016年8月5日発行の精神療法~特集マインドフルネスを考える、実践する~が本日届きました。 寄稿されている先生方のうち、名前を存じている方も多く、書籍を読んだり、勉強会で取り上げたり、直接学んだりした内容もあってたいへん興味深いです。 まず、「…

脳科学で証明されるマインドフルネスの効果

昨日NHKで放送されたサイエンスZEROに熊野宏昭氏(東京大学博士(医学)で現在早稲田大学人間科学学術院教授、応用脳科学研究所所長)が出演し、マインドフルネスの最近の科学的な知見について解説がありました。 番組では、まず仕事の効率化やストレス低減…

生きかた「知縁」カフェ、はじめます!

勉強会「生きかた知縁カフェ」第1回(9/17)を開催します。 知的好奇心が強く心理哲学的なアプローチと脳科学など最新の科学を融合させたい定年前後のシニアの方々の参加を想定していますが、「生きかた」に関心のある方ならどなたでもOKです。 NPOの審査や…

脳の遠隔領域が同期同調するデフォルト・モード・ネットワーク

今回は脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を取り上げたいと思います。 NHKのサイエンスZEROで2014年6月22日に “ぼんやり”に潜む謎の脳活動 として特集さました。 https://www.youtube.com/watch?v=R2aswoQtMDI 以下にその概略をメモしました。 (…

心の形成物≒ペインボディ≒認知的フュージョン

五蘊(ごうん)、とくにその第4である「心の形成物」(mental formation)の相互依存性ということを考えているうちに、ティクナット・ハン師のいう「心の形成物」とエックハルト・トールのいう「ペインボディ」、そしてさらにACT(アクセプタンス&コミットメ…

心理的柔軟性を失ってはいないか

昨日、「そうか!自分は心理的柔軟性を失っていたのだ」と気づきました。 10月に内面的にやや切羽詰った状況(以下、状況Aと呼びます)があり、それが軽いトラウマになっていたのでした。 考えてみると不思議な気がします。 ネガティブな状況Aを経験して、そ…

問題解決モードと夕陽モード

スティーブン・ヘイズ他著「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)第2版」を興味深く読み始めました。あらためて、ACTは本当に素晴らしく永遠の哲学の伝統にある知恵と現代心理学を橋渡ししているなと思いました。 それはともかく今回は、こ…

灰色の男たちの罠から抜け出し、ゆっくり動こう

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とこのブログで取り上げた過去のテーマとの関連を見ています。今回はACTの4つ目のコアである「今この瞬間との接触」です。私がごくごく簡単にまとめたACTのまとめは次のようなものです。 ACTその4 今こ…

人生の繰り出してくる問いに意味を見出しながら生きる

生きていく意味が分かりません、生きていく意味があるのでしょうか?と、もし尋ねられれば自分はどう答えるだろうか。 1ヶ月ほど前の研修をきっかけに、ぼんやりとそんなことを考えていたのですが、山田邦男氏の「フランクルとの〈対話〉苦境を生きる哲学」…

自由が不自由を生じさせるという逆説

フランシスコ・ヴァレラの「身体化された心」(工作舎)を読んでいて、 そうか、自由が不自由を生んでいたのだ... と腑に落ちました。 フランシスコ・ヴァレラはミンゲールの著書にも出てくるので名前だけは知っていましたが、チリの生物学者で認知科学の…

フローとマインドフルネス

このブログを読んでいただいている方からフロー状態とマインドフルネスな状態の違いについてコメント欄に質問がありました。ありがとうございます。興味深いテーマと思われましたので、以下に私の考えを書かせていただきます。 フローとマインドフルネスの違…

不快は追い払わず、息とともに観察する

ティクナットハンの「微笑みを生きる」(邦訳、池田久代)にはマインドフルネスのことが分かりやすく書かれています。 今回はその「感情の川」(p64)という節から、不快な感情とどう向き合えば良いかについて書かれている部分を紹介したいと思います。 (以下引…

フェルトセンスをシフトすることで事態を好転させる

立命館大学応用人間科学研究科教授、中川吉晴さんの「気づきのホリスティック・アプローチ」を読んでいて、この本に書かれていることと、最近自分に起こったことが「関係があるのでは?」という感触が数日前からしていた。 そして昨日届いた、ジェンドリンの…

変革体験によってもたらされるPTG

第三世代の認知行動療法を調べて行くうちに「マインドフルネス・瞑想・坐禅の脳科学と精神療法」(貝谷久宣・熊野宏昭編)という本に行きつきました。今回はその中で貝谷氏が報告している「坐禅により軽快した非定型うつ病の1例」から、21歳の女子学生の手…

「無意識の回避」から「意識的な受容」へ

ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)の勉強を進めていて、あらためて思うのは、まず、われわれはネガティブな状況や出来事、そしてそれに反応する内面の現象を、無意識に避けようとする傾向があるということだ。 しかしそうではなく受け容れね…

マインドフルネスの日

今回はティクナットハンのThe Miracle of Mindfulnessという本から、「マインドフルネスの日」を紹介したいと思います。きっとマインドフルネスに対するイメージが広がると思います。(以下引用拙訳) A Day of Mindfulness 毎日、毎時間、人はマインドフル…