ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

生命の躍動

Never Ending Story

田坂さんは死の虚無感が無意識に与えるダメージを述べ、科学と融合した新しい宗教的叡知の必要性を訴えている(『死は存在しない』田坂広志著 p335-337)。ミヒャエル·エンデのネバー·エンディング·ストーリーを思い出した。虚無(The Nothing)によって蝕まれ…

円窓で実相に触れる

昨日、高速道路のサービスエリアで偶然に遭遇した円窓。 なぜこれほど綺麗のか。 思わず足を止めて、見入った。 新緑の緑が一面に燃えるようだが、奥行きが感じられ立体感がある。 みずみずしく静かな生命の躍動がある。 しかし同じ景色も円窓を通して観ると…

私たちは勘違いしていた

(2021年1月1日、モーニングショーより撮影) 私たちは勘違いしていた。 「今」とは、過去と未来に挟まれた刹那であると。 であるから 今ここを軽んじ、 こころは先へ先へ、あるいは前へ 彷徨う。 しかし、そうではなかった。 〈今〉とは、過去を含み未来を…

木枯らしや生命の躍動みちしるべ

「生命の躍動」とは一昨年来、折に触れてこのブログでも取り上げてきた「生命(いのち)の躍動」です。 生命と書いて「いのち」とよんでいます。 ベルクソンがいったelan vital(エラン・ヴィタール)には「複雑系としてふるまう創造的進化の原動力」という…

供花のブリコラージュ

義理の母で、お花の師匠でもあった翠月先生が今月初旬に亡くなられました。葬儀では本当にたくさんの供花が飾られ、その一部を持ち帰ることになりました。 また先日、社中のお弟子さんから送り先不在で滞っていた見事なお花が届きました。 この写真はそれら…

ソーシャルビジネス、NPOの経営戦略

日本政策金融公庫のメルマガに「NPO経営戦略10のステップ」というものを株式会社PubliCo代表の山元圭太氏が紹介されていて興味深かったので適用してみたいと思います。 まず、10のステップとは以下のA~Jです。 Ⅰ.社会を変える計画 A.組織使命(Vis…

インフレーションの「真空のエネルギー」と空の充溢

「複雑系としてふるまう創造的進化の原動力」としてのエラン・ヴィタールと、私たちの「内なる躍動」が共振するのではないだろうか?と考えています。 そしてその共振する感覚こそ「生命の躍動」であり、その感覚は望ましい生き方のシグナルなのではないでし…

複雑系とは?散逸構造と自己組織化、創発と相転移

複雑系とは何か?ネット検索してみると出てくるのはこういう解説だ。 多くの要素からなり、部分が全体に、全体が部分に影響しあって複雑に振る舞う系。従来の要素還元による分析では捉とらえることが困難な生命・気象・経済などの現象に見られる。高精度の測…

エラン・ヴィタール(elan vital)「生命の躍動」

このところ「生命の躍動」というキーワード、この言葉で体系的に整理できれば面白いのではないかとあれこれ考えていました。そして今日やっと以下の図のように自分の中で関連すると思われる言葉を洗い出してみました。 最近このブログで取り上げた内容もあれ…

本質の無化から、無「本質」的分節へ

前回に引き続き井筒俊彦の『意識と本質』を見ていく。 本論に入る前に、井筒の使用する「分節」あるいは「無分節」ということばであるが、『意識の形而上学~大乗起信論の哲学』のなかでこう解説されている。 仏教古来の術語に「分別」という語があって、ほ…

表層意識における概念的「本質」

井筒俊彦著『意識と本質』では、否定的な本質論と肯定的な本質論、表層意識レベルの本質論と深層意識における本質論などなどについて語られている。そのはじめとして今回取り上げる「本質」は表層意識レベルの本質であり、概念的な本質、禅で徹底的に否定さ…

ポイエーシス的な働き方

NHK「100分de名著」昨年12月の名著はレヴィ=ストロースの『野生の思考』であった。 この概念を伝えるのは難しいのではないかと思われたが、中沢新一氏の巧みな解説と伊集院氏のコメントがよく効いて興味深く見ることができた。今朝その第4回目を見直してい…

エネルゲイア、それは「生命の躍動」を感じて生きること

岸見一郎氏の「嫌われる勇気」を読んで、終盤に出てくる「エネルゲイア」という言葉に注目しました。 このブログに書いている、「今ここ」「プレゼンスの持続」「マインドフルネス」「道」などとの共通性を感じましたが、今回は「生命(いのち)の躍動」との…

微かだが大切な、内なる躍動

朝から、長引く風邪に体調もすぐれず、諸事あまり良いとは言えない状況にあって、気分もやや落ち込んでいた。 年末年始に掴みかけていたあのビジョン、意欲、情熱は、もはやいずこに過ぎ去ったかと思われた。 しかし・・・、おっと、そうであった。 こういう…

そのこと自体に喜びを伴っているか?

影絵作家である藤城清治さんの「光は歌い影は踊る」の中に、次のような文章がある。 木は生命の象徴といってもいいでしょう。・・・ その美しい木の葉を一枚一枚切り抜いていく。これが影絵制作の真骨頂です。・・・ 文字通り一枚一枚の葉を根気よく、ごまかすこと…