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ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、そして近年ブームのアドラーまで、脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

Membership Group と Reference Group

一昨日、助成金の審査会で審査委員から「『がん医療学習』というのは、他のところが実施している医療のセミナーとどこが違うのか?」と質問されました。「単発で終わるのではなく連続講座を6ヶ月にわたって実施することで受講者である患者家族の間にコミュニティが発生するのです。」「地域でなかなか同じ病気の人に出会えない小児がんの場合こうしてできたコミュニティは心理的な意味でとても重要です。」と答えたのですが、伝わったかどうか自信がもてませんでした。昨年はじめてこの医療学習を開始し、4ヶ月目のことでした。
3時間をかけて月一回のこの講座に参加してくれる人がいたのですが、その時は松葉杖をついてこられ出席したのです。「どうしたの〜?」「大丈夫?」「遠いところから大変だったでしょう」…などなど。以前は顔もあわせたことのない親たちが、まさに学校の「クラスメイト」のように声を掛け合っていたのです。このことはきっと大事な意味を持っていると直感しました。こうした学校のようなところで人間関係が形成されコミュニティが発達することをどう表現したらいいだろうか?ウィキペディアに一番納得がいく説明がありました。(以下ウィキペディアより引用)学級とは、同一の時間に共同で学習する集団のことである。クラス(class)や組などと呼ばれることもある。学級については、単なる社会集団と異なる面も見られ、学級は、その特殊性から学習集団と定義されることもあり、一般的に教室を拠点とする(ホーム教室)。学級は、新学年の始めなどの編成当初こそ、在学生が単に機械的に分けられた人間的なつながりの必然性がない集団(所属集団、Membership Group)であるものの、各種の活動にともなって、楽しくて所属することを喜びとするような集団(帰属集団、Reference Group)に変化するといわれる。これは、学級担任の教員や学級の構成員の努力などによるものと考えられている。(引用ここまで)またこのReference groupについては準拠集団とも表現され「そこに参加できることが憧れとなるような集団」と解説されている。そうなんです。最初はたまたまそこに同席した小児がんの子どもの親たちが、自分の子どもの病状を説明し、講義内容に対して、質問する。そして講義終了後の情報交換会で意見をいい、他の親の話を聞く。こうした機会を毎月1回共有するうちに、たまたま居合わせたMembership GroupがReference Groupに変容してきたのです。逆に言うならば、私たちの医療学習は単に病気と治療の知識と情報を提供するのみならず、そうした場(class)の運営を通じて、患者家族同士のコミュニティであるReference Groupを形成する、というところに大きな意義があるといえるでしょう。Referenceとは「参照」という意味です。すなわち他の人の意見や問題点、考え方、解決方法などを互いに参照しあえるグループです。まだ互助的ではありませんが、互参照的とでもいうようなグループです。あるいはグループ全体の価値観が次第に形成され、その集合的な価値観、間主観的な価値観、に準拠して判断するということができるグループです。そして、このグループの一員となることで深刻な精神的負担を回避したり、困難な治療の選択の判断基準をもつことができるようになるのではないでしょうか。医療学習を通じてそんなReference Groupづくりを行っていきたいと思いました。