ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

道元のOne Taste

「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」は良寛川端康成も愛誦したという道元作の和歌ですが、映画の中では、たしか時頼との問答の中で一度道元が詠み、その後永平寺に帰る道元を見送るときに、時頼も詠んだと記憶しています。


ウィルバーの「存在することのシンプルな感覚」(松永太郎訳)のP159にこうあります。

道元禅師は祖師を引用して言う。

私がはっきりと認識したのは、心とは
山や川や、広大な土地、
月、太陽、星、
以外のものではないということだ。

まったく途方もないことである。全宇宙が、「私」となる。全宇宙
は究極の「それ」となる。

(引用ここまで)

 

このような意識から詠まれた歌だったのでしょう。これは2007年6月18日の日記「千の風になってと空なるあなた」に書いたことに通じます。自然と一体となったOne Tasteです。

もうひとつ同上のP158から引用します。

道元は言っている。

悠然と漂う雲は、哀れなるかな!
われわれは、皆、夢のなかを歩いている。
この偉大な可能性に、見覚めてみれば、
それはただ寺の屋根をたたく、黒い雨である。

 


たったの4行に非常に多くのものが盛り込まれています。
すばらしいですね!