ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、そして近年ブームのアドラーまで、脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

もはや脅かされない

ウィルバーの「存在することのシンプルな感覚」P282 グレース&グリットからの抜粋である以下の部分を読んで、トーレの「Milton’s Secret」の最後の部分との共通性を感じました。

苦しみの原因は、切り離された個別の自己の欲求や執着にある。それを終わらせるには、瞑想の道によって、自己とその欲望を超えることだ。苦しみが、この小さな自己と呼ばれるしこり、ないしは収縮に内在しているということがポイントだ。悟りのあと、もはや苦痛や恐怖や不安を感じないというわけではない。それは感じる。けれどもそのことがもはやあなたの存在を脅かさないのだ。もはや問題ではなくなる。…そこに脅かされる自己などないということが一つ、もう一つは、大きな「自己」はそもそも全部なのだから、その外部からそれらを脅かすものなどありえない、ということである。こうして非常に深い、自己の固いしこりが解かれるような、ほっとした感覚がハートに生まれてくる。

 


「Milton’s Secret」の最後の部分からの抜粋です。
Then he remembered what the ice-cream lady had told him in the dream. “Feel the light inside your body, and you won’t be scared anymore.”…So he did. There was that tingling again in his hands and then in his feet…then he could feel the light inside his whole body again.
Now I am in the Now, thought Milton. It feels good to be in the Now.
…How unhappy he looks, thought Milton. Then suddenly oh no! He realized the boy was Carter. …He’s unhappy, so he wants to make others unhappy, too, thought Milton. But I’m not going to be scared of him anymore. Milton felt the light in his body. I’m not going to be scared of anything or anybody anymore.

トーレの「Milton’s Secret」はThe Power Of Nowの子ども版です。インナーボディの感覚を意識して取り戻すことによって、もはや誰にも何事にも脅かされない、とMiltonに言わせます。

ウィルバーの方は「外側にある客体が主体としてのわたしにぶつかる。…この青あざこそ、”duhkha” 苦しみなのである」。しかしafter enlightenment あるいはafter spiritual practice には they no longer threaten your existence. というように変わるといっています。

なぜなら大きな自己はそもそも全部で、実は客体などなく、外部からそれを脅かすものなどない、ということが「実感をもって分かる」からなのでしょう。