インテグラルジャパンの鈴木規夫氏の記事からヴィジョンロジックは3段階に分けられることを知り、インテグラル・スピリチュアリティの第2章「意識の段階」とあわせて吟味することで大変理解が進みました。
ヴィジョンロジックの第1段階はIndividualistです。ここにおいて自己は「からだ」(Body)と「こころ」(Mind)の統合体である“Center”として確立されると書かれています。
この意味ではケンタウロスの段階に入ったことが分かります。。(ヴィジョンロジックの3段階すべてがケンタウロスに対応していると考えられる)
「自己の特異性(uniqueness)を模索することに集中しようとする」
「自分の人生の所有権を回復したいという欲求」
「組織から離脱して独立した個人事業者として活動を展開する」
ことが多い反面、権威が主張する事実を「文脈のなかで妥当性を持つ構築物に過ぎない」として権威を否定・破壊しようとする傾向があり、あらゆる外的な束縛を排除しようとNobody tell me what to do という姿勢をとることに繋がっていきます。
これはスパイラルダイナミクスのグリーンの段階でもあり多元主義Pluralisticと対応しています。
この段階の深刻な問題は「複数の文脈の中で経験される緒々の事象を統合することができず、その多様性の中で麻痺状態に陥ること」です。
無遠近法的狂気、非視点的狂気、です。第1層の最終段階でもあります。レッドを引き寄せグリーン/レッド複合体を形成し易いことが構造的にも見て取れます。
ヴィジョンロジックの第2段階はStrategistです。ここから第2層が始まり、スパイラルダイナミクスではイエロー、ウィルバーが虹の色で示す意識のレベルで「ティール」で表示される統合的段階です。
多様性に麻痺することなく、それらを統合できるという特徴を備えています。AQALの視点で事象を捉えることができることなどはその典型でしょう。
こうした統合能力は「意味」や「物語」を構想する能力として発現するとされており、自律的存在として「自己実現」を果たそうとするようです。
そうか!マズローの第5段階はここにいました。
しかしながらここでも新たな問題が立ちはだかります。
このStrategistの動機となる自己実現と自己充足という衝動は、当然ながら他者に対してもそれを善として押し付けることになり、そうした成長を他者が拒絶することはStrategistにとって非常に腹立たしいものとなります。
こうした種類の非寛容がこの段階の最大の問題点なのだそうです。
う〜ん…、なんだか思い当たるような気がしないでも…。
そしてヴィジョンロジックの第3段階がAlchemistsになります。意識のレベルは「ターコイス」です。
・体験はありのままの世界とはことなる。なぜなら体験は言語活動を通して解釈されるものであるから。
・個を対象化する初めての発達段階
・世界を知的に把握しようとする習慣が、存在の本質の拒絶の試みであることを察知する。
・非言語的、非合理的な知恵の源泉を重視するようになる。
というような特徴があると鈴木氏は書いています。
Alchemistsとは言葉を通した認識活動の限界に気づき、5/27のブログで書いた「五蘊皆空」を、まさに「照見」するレベルであるといえるでしょう。そしてそうであるがゆえに6/3のブログで書いた実存的病理に陥るといえます。
ではこのAlchemistsと「目撃者」はどのような関係にあるのでしょうか?
これは以前からの私の疑問の一つでありました。ところがインテグラル・スピリチュアリティのp96の図のPerspectiveの視点5Pに「目撃者」(Witness)を見つけたのです。
このポイントはグリーンに相当する個人主義、多元主義の2段階上で、意識のレベルの第2層の上段に位置するレベルでもあることからターコイスであることは明らかです。すなわち実存的病理に陥るのも(ケンタウロスで後期ヴィジョンロジック段階にある)Alchemistsなら、目撃者としての自己に軸足を移してその病理を超えていくのも(ターコイスの)Alchemistsであるということです。
そして目撃者としての自己が定着することによってヴィジョンロジックを超え、第3層Unitive段階のIronistsへの道が開けていくということなのでしょう。
今回は目撃者(Witness)を一つの構造−段階と捉えた考察を試みましたが、誤解のないように補足しますとインテグラル・スピリチュアリティp112で目撃者は状態−段階の4番目の段階として捉えられています。
そしてこの状態としての目撃者はヴェーダーンタの意識の自然な状態である覚醒、夢見、深い眠り、目撃者(トゥリーヤ)、非二元(トゥリヤティタ)の一つの状態であるとされているのです。
このように構造と状態の2つの側面を持つ「目撃者」ですが、今の私にはどうもこのWitnessに大きな鍵があると思えて仕方ありません。今後もこの目撃者について体験と探求を深めて行きたいと思います。