ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

Shadowモジュールの「The 3-2-1 Shadow プロセス」

 ウィルバーのIntegral Life Practiceに挑戦中です。

本日は4つのモジュールのなかの一つ、Shadowモジュールから「The 3-2-1 Shadow プロセス(1分間モジュール)」を紹介したいと思います。

Shadowすなわち「影」のメカニズムについてはインテグラル・スピリチュアリティの「第6章 影と切り離された自己」に詳しく書かれています。

また古くは「無境界」でも「7-仮面のレベル」の中で「影の投影メカニズム」が説明されています。

重要なことは、インテグラル・スピリチュアリティに書かれているように、瞑想が「無限の自己に接触する道でありながら、同時に日常的な有限の自己における欺瞞性を強化してしまう」ことがあるということです。

例えば、「怒り」を抑圧して「恐怖」に変えていた場合、「恐怖に対するヴィパッサナー瞑想などは、影を封印し、同伴させる確実な方法となってしまう」危険性があるということです。
 そこで、「三人称の怪物(それ)を二人称の(あなた)との対話に戻し、さらにすすんで、そうした声を、一人称の現実として再び持つことを認める」という3-2-1のプロセスが必要となります。
「The 3-2-1 Shadow プロセス」の1分間モジュールは以下のように紹介されています。

The 3-2-1 Shadow Process

あなたは3-2-1processを必要なときにいつでも行うことができます。特に効果的な二つの時間は、ちょうど朝起きたときと、夜に寝る直前の時間です。一度3-2-1を知れば、あなたを不安にさせているかもしれないことのために、プロセスを行うことは1分だけでよいのです。

朝:ベッドから出る前、まず朝にすること。
見た夢を振り返り、感情をこめて、その人あるいは物と同一化しましょう。心の中にそれを抱き、その人あるいは物と顔をあわせましょう。それから、その人あるいは物と話をしましょう。(あるいは、顔をつき合わせていたいと感じながら、彼またはそれに共感しましょう。)最後に、彼あるいはそれの視点を取ることで、その人あるいは物になりましょう。このエクササイズのために全部書き出す必要はありません。あなたは自分の心のなかで全てのプロセスを正しく行うことができます。

夜:寝る前にする最後のことです。その日に会った人で、あなたを不安にさせたり攻撃してきたりした人を選びましょう。心の中で彼、あるいは彼女に会いましょう。彼、あるいは彼女と話しましょう。それから(前述したように)彼あるいは彼女になりましょう。

さらに、あなたは必要なときに何回でも、昼であろうと夜であろうと、自分自身で静かに3-2-1processを行うことができるのです。

いかがでしょうか?私は「彼の視点を取ることで、その人になる」be that person or object by taking its perspective という部分にひきつけられました。これはMindモジュールの章のはじめに出てくるIncreasing Your Capacity to Take Perspective 「視点を取る能力を増大させる」ことこそ「発達」であり「成長」なのだ、という考えがベースにあると思われます。

影を解消させるためにも視点の拡大は大切なことなのだ、と分かりました。