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ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、そして近年ブームのアドラーまで、脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

拡張する気づき

Awareness ILP(インテグラル・ライフ・プラックティス)

ILPのコアモジュールの総括のような部分が、P347から書かれています。毎日、ILPの実践を継続していくことの変化が「拡張する気づき」と表現され、一度に四つのモジュールに目を通せます。まずはその部分の訳を紹介します。(以下抜粋、拙訳)

あなたが規則的な実践を確立していくにつれ、実践の技能が可能になり始めます。この地点において、強調すべきは、特別な実践から、実践の表現としてのあなたの人生そのものの質の進化へとシフトします。・・・それは毎日拡張する気づきの意識・・・です。
 拡張する気づきは、瞑想の間に起こるものだけではありません。実践を通して、拡張する気づきは毎日の体験に浸透しはじめます。・・・
 
Everyday Expanded Awareness 毎日拡張する気づきの意識

あなたが規則正しく実践するにつれ、あなたの意識の質は変わり始めるでしょう。実践の果実は時々、あなたが生き方全体における深い変化として姿を現します。
・・・あなたの瞑想的な状態は、あなたの目覚めた意識へと流れ出はじめます。意識的な呼吸のような、ボディ実践の「内面的ゲーム」は二次的な性質となり、日常の活動へと持ち越されるようになります。より統合的な視点は、あなたのアイデンティの意味の全部と、あなたが経験と情報を処理する方法をシフトし始めます。
 毎日の気づきの意識の拡張は、常なる可能性です。あなたは意識が明らかに排除していたものに対し、常に目覚めることが可能です。あなたのハートは常に開き続けることが可能です。あなたは常にどのように感じ、機能し、新しい方法で関係するべきかに常に気づくことが可能です。あなたは、くつろぎ方、そしてますます完全にあなたのユニークで輝かしい人間性に到達する方法を常に発見することが可能です。あなたは常にもっと十分に生命エネルギーを導くことが可能です。最終的にコミュニケーションは十分なものとなるので、あなたはより大きなKosmosによって意識的に生かされているように感じ始めるでしょう。

The Body Module
ボディモジュールの内面的ゲームの鍵となる実践は、ボディ実践だけでなく、すべての人生の瞬間をinformしはじめることです。

・ Heartに感覚を感じながら、意識的に呼吸します。規則正しく集中に戻るために呼吸を使いましょう。

・ Haraあるいは腹部を通じた呼吸によって、強さと自信をもって地に足をつけます。

・ Heartセンターを通じて、生命と交流し、生命を感じましょう。

・ Headセンターを通じて燦然とした意識とともに輝きましょう。

・ 心と身体の健全な状態を維持するために、subtleエネルギーの実践を使いましょう。

・ 意識的に生命エネルギーを管理し、循環させます。胴体の前から下へおろし、背骨から上に上げていきましょう。

・ 激しさに対して、反応し、振り払うよりもむしろ、ますます寛容になり、楽しみ、それを使うことができるでしょう。

・ 一日を通して愛へ、そして自己と他者のための実践的な奉仕の中へと身をおくのです。


The Mind Module
マインドモジュールの実践は、複雑な視点を取るあなたの自然な能力、AQAL理論を知性的に使うための能力を養います。毎日の経験におけるマインドモジュールの本質は、明晰な分別(clear seeing)あるいは識別の意識(discriminative awareness)です。これは内面の形成だけではなく、あなたの全存在に対する感覚知性を統合することに係ります。これはさまざまな指令によって表現されます。

・ 人生のすべての瞬間において、意識的にいまに在ろうとしなさい。

・ 常に明確に理解し、混乱を断ち切ろうとしなさい。

・ あなたの人生、I ,We, It, Itsというリアリティの根本的な次元のすべての価値、重要性、思いやりに気づきなさい。

・ 眠っている、起きているというような意識の状態の変化に、意識的に係りなさい。

・ 特に強い意見を持っているときでさえ、多くの異なる視点を抱くという逆説を、自然に楽しみなさい。

・ あなたが出会う人々の人格のタイプが広くさまざまであることを、十分な洞察と慈悲をもって評価しなさい。

・ あなたの最も高いレベルあるいは高度からもう少し高く飛びなさい、そして他者も同じことをするために助けましょう。

・ あなたの視点も含めて、すべての人の視点は真実だが部分的であることを賞賛しましょう。


The Shadow Module
影は、定義によると、あなたが自分の意識から隠しているものです。したがって、シャドウの実践は、あなたの内面のある部分は見ることができず、そのように留まることを必要としている!というシンプルな洞察ではじまります。
 実践者の意向として、日々、その知識を持って生きるのはどのようなものなのでしょうか?

あなたの隠された精神力学への心理学的質問を穏やかに継続しながら生活を始めましょう。

・ なぜ、私は店員のささいな無礼によってそんなに誘発されるのだろう?

・ なぜ私は配偶者の怠惰を許せないのだろうか? などなど。

それは、謙虚、信用、好奇心、開け、・・・究極にはユーモアを含んでいます。

・ すべての人はこの同じコソコソとしたかくれんぼを、活き活きと続けているので、何も恥じる必要はありません!

あなたにとって気づくことはありますか?

・ 「私は恐れている」「私は、自分自身そして他人に隠している」「私は自分の感情を他者に投影している」それはどんどん続き、そして通常かわいくありません。

シャドウワークが成熟するにつれ、あなたはリラックスして自己認識の不快に身を任せます。
あなたは実際、似合わない感じ方に対して自動的に自分自身を防御する必要を、もはや感じません。新しい気づきが可能にする不快という新しい自由を歓迎さえし始めるでしょう。自己防御は、最終的に自己認識よりもっと痛ましくさえあると理解するのです。


The Spirit Module
毎日の瞑想的な気づきの実践には、人生のすべての瞬間、すべてのもののスピリット、あるいはSuchnessの認識があります。それは気づきの意識そのものに安らぐことであり、起こる事はなんであろうと気づきの意識の中で生起している(it arises in awareness)と気づくことです。

あなたは、生起するもの、変化するものに排他的に焦点を合わせる傾向を緩和することができると気づきます。

・ ますます、あなたは気づきの意識それ自体に安らぐことができるようになります。それは常に、まさにここ(right here)、そして広大で、収縮がなく、深く満たされています。

・ あなたは、あなたがこのAwarenessであることにさえも気づいています。

あなたは、感謝とは人生に対する自然な、そして妥当な反応であることを認識しています。

・ 毎日の献身の実践は、スピリットの現前に、スピリットと親密な者として生きています。

・ スピリットはすべてのもの、すべての人として現れるので、これは自然な全方向の交流と愛を毎日実践すること―すなわち祈りの人生です。

あなたは、すべてをSuchnessそれ自体の顕現として認識するので、生起するものすべてを黙想することができると気づきます。

・ 自然界は、神秘的な美に満たされたものとして認識されます。そう、数学の優雅な抽象も。そう、大衆文化の空虚な不摂生や退屈なコンクリートの高速道路や駐車場も。

・ 毎日の黙想の実践の中に、それすべてを認識すること、それを通して理解すること、その空性と照明の両方を正しく評価することが含まれているのです。(抜粋拙訳ここまで)


私もこの本を読み始めてから、可能なモジュールの実践よりスタートし、何とか毎日継続しています。ILPを始める前と今とで、自分がどう変わったかをざっと振り返ってみますと・・・。

ボディモジュールについては、まず、subtleエネルギーというものに、もともと自覚はなかったのですが、今では「これをsubtleエネルギーというのか」と、その感覚が分かりはじめました。以前は感覚としては額だけだったのですが、haraとheadを結んだ形で大きな流れのように、そして頭頂と額が一体となった充溢感として感じられます。Heartも少し開く感覚が分かってきました。

マインドモジュールは、その内容の半分以上はすでに以前から理解できていたので、レベルやAQALなどの見識をさらに深めることができたと思います。また知性のさまざまなラインやサイコグラフの理解が深まったことで、自分や他者の知性の特徴がグラフで示される波形として把握しやすくなりました。

シャドウモジュールは、実践面では全く無縁の領域でしたが、まさにここに書かれている心理的トリガーとなる場面に、大なり小なり否認してきた自分の側面があったのだと分かりました。そして、それを自覚すること自体が、実は大きな解放感、カタルシスとなります。シャドウワークの理解には重松清原作の作品が大変役に立ちました。

スピリットモジュールの実践は、唯一最も安定して毎日継続できているプラックティスです。約1時間の瞑想をするのが日課となっていますが、前半の30分と後半の30分では様相が異なってきています。うまくまだ表現できませんが、やっぱりだいぶ違うな、と感じることが多いです。やや過剰反応的に否定していたガイアの位置づけも三人称のスピリットにしっかり納まり統合されました。しかしながら二人称のスピリットはまだまだ苦手です。

The Body Moduleのところで、「すべての人生の瞬間をinformしはじめる」と訳した部分がありますが、この原文はbegin to inform (not only your body practice ,but also) every life momentです。最初は「すべての人生の瞬間に情報(知識)を与え始める」と訳していました。しかしその表現では伝えきれないような意味をinformに感じましたので、informとそのまま訳に書きました。すべての瞬間に対し、中で(in)形をつくる(form)というか、洞察力や感受性を高める方向に作用するのだということでしょう。

やや長くなりましたが今回はここまでにしたいと思います。