ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

龍樹(ナガールジュナ)

虚無感すらも無い

前回のブログで「虚無感すら無い」と書いた。これは、 「何も無い」(すなわち虚無)でも「何もないのでも無い」 という絶対否定を表した言葉だ。 「何もない」と聴くと、あるはずのものが全て失くなるような、あるいは私という存在がなくなってしまうような暗…

すでにそうであることこそ破線ではなく、実線。

あらゆるモノやコトに内在する「無根拠性」にどのような姿勢で臨めばよいのか?ということを考えていました。 この「無根拠性」は、以前David Loyの著書から引用して「絶えまない欠乏の感覚(a sense of lack)をもたらすもの」 絶えまない欠乏の感覚(a sense …

複雑系としての空を理解し経験の質を変える

フランシスコ・ヴァレラの『身体化された心』が面白い。 現実は客観的事実として、われわれから分離、独立してそこにあるのではないことが色視覚の例を引いて記述されている。 英語圏では緑と青を識別するが、メキシコのある種族では緑と青を区別する言葉が…

お金への強迫観念は空性への抑圧から

David LoyのLack and Transcendenceの第5章Trying to Become Realという章を読んでいます。彼がこの本の中でキーワードとしている個人の「欠乏の感覚(a sense of lack)」は、広く社会行動や制度の集合的な無意識に組み込まれていると言います。中世の終わ…

色即是空と空即是色の完璧な解説

これは色即是空、空即是色の完璧な解説だと思われる部分を「存在することのシンプルな感覚」P138〜139に発見しました。(「進化の構造2」P14〜16に対応しています。)といいますか今までにも何回か目を通したことのある文章でしたが、あらためてここは本当…

「悪い無限」を空なる心の自由へと反転する、それは「無形の位」

David LoyのLack and Transcendenceの中には興味深いことがいくつも書かれています。 P94から、私が朱線を引いたところを以下にいくつか抜粋してみます。(以下引用拙訳)〔 〕は私の補記です。 私たちの最も問題となる二元性は、死に対する生ではなく、自己…

絶えまない欠乏の感覚(a sense of lack)をもたらすもの

インテグラル・ジャパン代表である鈴木規夫さんのブログの次の文章、に惹かれるものを感じ、特にa sense of lackとthe Atman Project にピクンとしてDavid LoyのLACK AND TRANSCEBDENCEを購入しました。 http://integraljapan.net/wordpress/suzuki/?p=218よ…

「空」とキャンバスと本当の自分

ケンウィルバーの著作の中で最も好きな 「存在としてのシンプルな感覚」の終盤、第7章〜第9章はよかった。 たぶんもう3回は読んだと思いますが、本当にいいです。 その中で、龍樹の それは空でも、空でないものでもない。 その両方でも、その両方でないので…