ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

Presence

Presenceという名詞は「現前」、Presentという形容詞は、「現前の〜」「現前する〜」あるいは「いまここにある〜」と訳したりしています。
以前は、このPresenceがどういう意味かよく分かりませんでした。英語では贈り物をするという動詞の意味のPresentの方が、私たちには馴染みがあるのですが、ILPを読んでいると、とにかくよく出てくる単語で、この意味が実感として分からないと全体の理解が進まないほど、重要だと思います。私は松永太郎さんが「存在することのシンプルな感覚」のあとがきで解説している文を読んで、とても理解が深まりました。まず以下にその部分を紹介させていただきます。(以下、「存在することのシンプルな感覚」の訳者あとがきより引用)

Presenceというのは「現前」と訳されるが、それは「今、ここにいる」ということである。日本語では「気をとられる」というが、私たちはあまりにも多くの思考に占有されているように感じてしまい、それに気をとられていて、「今ここにいる」ということがめったにない。けれども、心をそれ以外に居場所のないところに落ち着けてみれば、ちょうど、蛙が飛び込む水の音に気付く時、あるいは蝉の声に気付く時、すなわち「今、ここ」に気付く時、全世界が出現するように、「二のない一」者が「現前」しているのである。そして実は、私たちは「今、ここ」以外のところにいることはできない。Presenceに時間はない。過去の現前、未来の現前というのは意味をなさない。(引用ここまで)


この文の前後を読めば一層理解が進むと思います。

そして最近、Integral Lifeの会員登録をしたのですが、ウィークリーレポートとしてIntegral Lifeのための5つのSkillというレポートが送られてきました。その5つとは

Presence

Awareness

Perspective

Attention

Discernment


です。以下にそこに書かれていたことを紹介します。

Presenceは、雑念や思考、心のおしゃべり(story-telling)などの形を取ることなしに今この瞬間に起こっていることに十分に目覚め、生き生きとする能力です。スピリチュアル知性の進化にとって、そして古典的な悟りにおける覚醒のプロセスにとって、決定的に重要なskillであり、Presenceは、その瞬間に起こっていることの受容を通して涵養され、今この瞬間に対する内面的な抵抗によって見失われます。Presenceは、感覚と存在の「状態(states)」の違いがあなたの人生にどのように影響を与えるのか、という感受性を養うことに役立ちます。Presenceは、十分な人間経験、意識の最先端の基礎となる土台であり、2つ目のskillであるAwarenessを引き起こすものです。


 
とあり、以下(9つ)のIntegral Lifeメディアのセレクションに耳を傾けることであなたの人生の偉大なPresenceを育むことができると書かれています。

その9つとは

Three Face of Spirit (これはスピリットモジュールですでに見てきました)

What are States of Consciousness?

Big Mind Practice

Practice for Two Realities

The Marriage of Spirit and Energy (なかなか素敵なタイトルですね!)

10 Minute Practices to Reconnect with Spirit

Always Already: The Brilliant Clarity of Ever-Present Awareness 
(統合心理学への道に出てくる「常に現前する意識の輝くような明晰性」です)

In Secret

Freedom and Fullness: Two Forms of Enlightenment


です。

いかがでしょうか?なかなか魅力的なタイトルが並んでいると思いませんか?今年は何とか英語のリスニングの腕を磨きたい、とあらためて思いました。