還暦を迎えた今年の内に経営理念を再考したいと思っていた。2001年に独立してコンサル会社を設立しちょうど20年になる。
はじめの4年間は長野県や中国四国の自治体から委託を受けて新(省)エネルギービジョンを策定した。「再生可能エネルギーの地域におけるポテンシャルを調査し活用案を提案」するコンサルである。
並行してNPO支援関連で経済産業省から委託事業を連続して受注した。
その後小児がん支援NPOの名刺も持つようになり、医療学習というテーマで再び経済産業省委託事業を実施。
また厚生労働省の外郭団体からの事業助成をはじめ、ファイザー、パナソニック、武田薬品などの民間企業から企画コンペで採択され「テレビ会議を利用した患児への学習支援」など数々の助成事業を実施してきた。
9年前にいくつかの遊休農地を相続したことを契機として太陽光発電の固定価格買取制度による再生可能エネルギー事業を開始した。徳島県を含め現在5ヶ所に発電サイトを運営している。
そしてこれら20年間のコンサルや事業は、すべてSDGsであると気づいた💡。
小児がん支援NPOはSDGs17目標の3番目「すべての人に健康と福祉を」の中のターゲット3.4「2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する」に該当する。
新(省)エネルギーコンサルおよび太陽光発電事業は7番目の「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の中のターゲット7.2「2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる」に該当する。
そうか…独立してからずっとこのSDGsにそった事業をやってきていたのだ!(SDGs自体は2015年よりスタートしたのではあるが)。
渋沢栄一の玄孫にあたる渋沢健氏によるとSDGsを意識して事業を行うことは『論語と算盤』に通じるものがあるという。
守屋淳さんも「100分de名著」で確かそんなこと言ってたな。
事業には算盤だけではダメでその行き過ぎには論語をもってブレーキをかける。また論語だけだと理想論に終り長続きしない。持続可能のためには算盤が欠かせないと。
またSDGsは2030年まで「誰一人取り残さない」ことを目標としているという。これは私たちのNPOが、はからずも2015年に掲げたインクルーシブ(inclusive)のビジョンと同じだ。
36年前、24歳の時に診断士の勉強の最初に経営基本管理という科目を学んだが、それにはこうあった。「経営理念とはその事業を通じてどのように社会に貢献するのかという経営目的を表現したものである」と。
世界が抱えるどのような領域(1〜17)の、どのターゲット(169項目)に照準を合わせて、その解決に資する事業を行うのか?
この視点がすべての企業の経営理念に含まれているなら、なんと素晴らしいことだろう。
SDGsは地球温暖化や飢餓、貧困の克服など「人類の壮大な目標」であると言われている。すべての企業が、すべてのNPOが、すべてのフリーランスが、システマティックにほんの少しでもその一翼を担うなら、この壮大な目標の実現は決して夢ではないかもしれない。
「アートマン・プロジェクト」ならぬ人類の存続をかけた「サピエンス・プロジェクト」ともいうべき壮大な試みではないか。
あなたの事業、あなたの仕事、あなたの関心を、SDGに紐づけてみてはいかがでしょうか。何か感じるところが、あるいは新たな発見が、あるかもしれません。