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ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、そして近年ブームのアドラーまで、脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

奥深く絡み合う四象限 Profoundly intermeshed AQAL

ウィルバーのIntegral Life Practice のLevels of Consciousness の節のなかのP77に興味深い文章がありましたので紹介させていただきたいと思います。(以下、拙訳)

これは私たちの個人的進化にとって何を意味するかというと、私たちは意図的に、意識と慈悲(compassion)のより高いwaveに到達するため全ての4象限の全域で、発達を調和させることに焦点を当てることができるということです。

実際、これはILPの主要な機能です。なぜなら4象限は奥深くまで(profoundly)、互いに絡み合っており(intermeshed)、全てを含めた発達は4象限全域で生じねばならないからです。もし、一つの象限が立ち遅れると、他の3つも下に引っ張られるという影響を受ける傾向があります。

例えば、もしあなたが、左上の意識の領域で明晰な状態に到達したいと思っているなら、右下のあなたの周囲(家庭やオフィスのような)がごたごたしていたのでは、難しいでしょう。私たちが(内側の)心を集中させようとするとき、本能的に(外側の)部屋を片付けようとする傾向があるのはこのためです。
 同じような力が反対の方向にも働きます。もし、例えばあなたが身体的健康と厚生(well-being)のより高い状態(右上象限)に到達したいと願うなら、価値あるエクササイズをし、正しい食事をとり、健康に暮らしている人々の仲間に加わる(左下象限)ことによって上に引っ張られることが可能です。象限を私たちはグルグルと回るのです。(拙訳ここまで)

   
この説明は、前回に取り上げた、一つの出来事を四方向のレンズから見るというAQALの使い方に加えて、さらに四象限の理解を深めてくれたと思います。

心を集中(左上)したいなら部屋を片付ける(右下)ことが役立つかもしれないし、より健康になる(右上)ことが目標ならそうした仲間に入る(左下)ことが役立つと書かれています。

すまわち、ある象限でのある項目について改善あるいは向上することを目的とした場合に、他の象限において採る対策が役立つ可能性があるということです。

しかし、これは大本になるものを見つけ出そうということではありません。進化および発達は四点生起(tetra arise)するので、特定の象限のある事象(構造)が原因であると同時に結果でもあるのです。

大切なことはその象限のなかで解決しなくてよいということです。例えば患者が心理的な問題を解決したい場合(左上)にカウンセリングを受けるだけが方法ではない、ということです。

同じ闘病患者のグループ(セルフ・ヘルプ・グループ)に入る(左下)ことも一つの解決策になる可能性があるということです。

またそうしたセルフ・ヘルプ・グループを支援する法律を政府がつくる(右下)のであれば、そのような社会的動きは加速化され、結果的に今まで蚊帳の外に置かられていた希少な病気の患者の治癒率が向上する(右上)かもしれないということです。

統合的なヘルスケア、少し見えてきたような気がします。