ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。苦悩を乗り越えるヒント、自己実現、自己超越を促す一助となれば幸いです。

五蘊(ごうん)

心の形成物≒ペインボディ≒認知的フュージョン

五蘊(ごうん)、とくにその第4である「心の形成物」(mental formation)の相互依存性ということを考えているうちに、ティクナット・ハン師のいう「心の形成物」とエックハルト・トールのいう「ペインボディ」、そしてさらにACT(アクセプタンス&コミットメ…

ことばで言い表せないものの価値を見出す

前回のブログで「価値体系の変革」ということを書いた。 ではどのような価値体系へ変革するのが望ましいのであろうか? インテグラル理論的には価値観の梯子(cf.スパイラル・ダイナミクス)を上に登っていくことであると結論づけられそうであるが、 グリー…

フェルトセンスをシフトすることで事態を好転させる

立命館大学応用人間科学研究科教授、中川吉晴さんの「気づきのホリスティック・アプローチ」を読んでいて、この本に書かれていることと、最近自分に起こったことが「関係があるのでは?」という感触が数日前からしていた。 そして昨日届いた、ジェンドリンの…

われわれは経験のありのままを見ていない

前回まで五蘊をテーマにしてきましたが、今回は脳神経学的な観点との対比によってこれを考えてみたいと思います。以下はミンゲールの“Joyful Wisdom”のThe Reality of Perspectiveという節からの引用です。(P66~p69)。 私がさまざまな科学者との議論を通…

五蘊その5「識」―Consciousness

五蘊の無常、無我、相互依存性を看破する やっと五蘊の最終回です。今回は五蘊の5番目の「識」(Consciousness)とは何かということと、五蘊全体のまとめについてティクナットハンの解説を見てみたいと思います。 以下“The heart of the Buddha’s Teaching”p…

五蘊その4「行」―Mental Formations

自分のつくり出している「メンタル・フォーメイション」に気づく 五蘊の4番目は「行」です。英語ではMental Formationsと表現されています。まずは、Ayya Khemaによる「行」の解説です。(“Being Nobody, Going Nowhere”p122) (以下引用拙訳) さらにまた…

五蘊その3「想」―Perception

記憶によって条件づけられる知覚 「色(しき)受(じゅ)想(そう)行(ぎょう)識(しき)」という五蘊について順に見ております。今回は三番目の「想」です。 まずは、Ayya Khemaによる解説を見てみましょう。(以下、引用拙訳) 次に、私たちを構成してい…

五蘊その2「受」―Feeling

今回は五蘊の二つ目であるfeeling について、Ayya Khemaの“Being Nobody, Going Nowhere”で解説されている部分と、Thich Nhat Hanh が“The heart of the Buddha’s Teaching”で解説されている部分をあわせて見ていきたいと思います。 (以下引用拙訳) 五蘊の…

五蘊その1(色)―Body

苦しみの根本は、五蘊の本質である無常、無我(nonself)、相互依存性を理解することの欠如によるものである、とThich Nhat Hanhは書いています。 今回からAyya KhemaとThich Nhat Hanhによる五蘊の解説をひとつずつ取り上げ、吟味したいと思います。 今回は…

照見五蘊皆空と参観日の思い出

(これは一昨年の10月頃に書いたブログですが、アップしていませんでした。前回のブログとも関係するのでここに掲載します。) 玄侑宗久さんの「般若心経」を再読していて五蘊の働きにより、物事を認識するプロセスを確認していました。 五蘊とは「色(しき…

認知療法の自動思考

配偶者や子どもなど大切な家族との死別をきっかけにうつ病を発病することがあります。そしてうつ病になった人は自殺を企てることが少なくありません。うつ病にならないように、そしてうつ病になっても回復させる治療法の一つに認知療法というものがあること…