ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

2015-01-01から1年間の記事一覧

円相(円窓:えんそう)を常に意識する

忘れてはいけないイメージ。 今この瞬間の「意識の野」に、鳥の声、朝の匂い、窓からの景色など、すべてのものが生じている。 その気づきを忘れないでおくこと。 その気づきを常に思い出すこと。 その気づきのイメージは楕円のような気がしていた。 その気づ…

「不即不離」という対人関係のフローを実現する

森田療法の勉強を始めました。そして森田正馬先生の『自覚と悟りへの道』を読み進めていく中で、自分にとって大切な人(上司、顧客、恋人、友人etc.)との関係のとり方について、たいへん興味深いと思われる部分がありましたので紹介して考察してみたいと思…

離れ内、重ね外

前回のブログで「離れ内、近く外(笑)」と書きました。長々と書き記したコンセプトを短い言葉で覚えやすいように、どう表現しようかと何回か修正したあげく、この表現に行きついたのでありました。 「はなれうち、ちかくそと」と読んでもらっていいのですが…

離れ内、近く外〜自己認識の変容〜

福は内、鬼は外 節分の豆まきの言葉であるが、家の玄関を境界として、幸福をもたらしそうなものはどうぞお入りください、不幸をもたらしそうなものはどうか外へ、という掛け声である。しかしながらそうすると、外の世界は鬼ばかりいる怖いところになってしま…

脳の遠隔領域が同期同調するデフォルト・モード・ネットワーク

今回は脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を取り上げたいと思います。 NHKのサイエンスZEROで2014年6月22日に “ぼんやり”に潜む謎の脳活動 として特集さました。 https://www.youtube.com/watch?v=R2aswoQtMDI 以下にその概略をメモしました。 (…

注意で脳は変えられる(注意と可塑性の関係)

『脳を変える心』(シャロン・ベグリー著 茂木健一郎訳)は、2004年にダライラマ14世のもとに脳神経学者が集い、心と脳についての対話を行った記録ですが、脳の可塑性、神経可塑性について詳しく書かれています。 「可塑性(かそせい)」とは、固体に外力を…

Aware Presenceと、Ever-Present Awareness

ルパート・スパイラはその著書『プレゼンス』のなかで、「わたしとは誰か、なにか?」という問いに対して、「わたし」とは「Aware Presence(気づいている現存)である」といっています。 これと似た表現にウィルバーのEver-Present Awarenessがあります。 …

役割取得能力レベル0の補足

過去のブログで取り上げた「セルマンの役割取得能力の発達段階」のうち3歳~5歳の自己中心的役割取得能力に関して、質問がありましたので下記に補足しておきます。 Interpersonal知性と、セルマンの役割取得能力 - ウィルバー哲学に思う レベル0の説明を『…

コぺルの鏡で、こころの闇から抜け出す

このブログでも過去に何回か取り上げたことのある清水博先生の作品『コペルニクスの鏡』いのちの居場所に、いのちを使う - ウィルバー哲学に思う を読み返していて、新たな発見や深く感じ入るところなどが多くありました。 今回はその序盤から少し紹介させて…

スクリーンに映った過去、未来、あなた、彼

前回のブログで わたしたちは、記憶や言葉のおかげで現在の直接経験だけではない、過去の経験、未来の経験を、私の経験だけではない、あなたの経験、彼の経験を生きてしまっているのだ。 と書いた。しかしこの表現はやや混乱していることに気づいた 直接経験…

二種類の現在と直接経験

入不二基義さんの『ウィトゲンシュタイン~私は消去できるか~』(NHK出版)のなかにウィトゲンシュタインのいう現在および直接経験についての解説が興味深かったので、ここに紹介させていただく。(以下p75~p76から引用) 物理的な事実と直接経験の違い…

〈私〉と〈今〉は同じものの別の名

哲学者である永井均さんの著書『私・今・そして神』の中に、注目すべき表現があったのでその部分に線を引いた。それは「開闢(かいびゃく)の奇跡」という節のなかに書かれている。(以下、P40~p42より引用) ある名付けえぬもの ・・・ まあ、基本的には、…

必ずしも意図していないものを読み解くという楽しみ方

脳内ポイズンベリーという映画を観た。 若い男女の三角関係がストーリーの恋愛映画で、映画館も若い人が多く、少々気恥ずかしい感じがした。 にもかかわらず、わざわざ見に行こうと思ったのは、主人公の脳の中にポジティブ、ネガティブ、衝動、記憶、そして…

インドラ網として万物に証せられた自己

2012/1/9のブログにヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェの著書から引用してこのように書いた部分がある。 『華厳経』という古い仏典にはこう書かれています。宇宙とは無限の網であり、ヒンドゥー教の神インドラ(帝釈天)の意思によって生じた。この無限の網の…

心の形成物≒ペインボディ≒認知的フュージョン

五蘊(ごうん)、とくにその第4である「心の形成物」(mental formation)の相互依存性ということを考えているうちに、ティクナット・ハン師のいう「心の形成物」とエックハルト・トールのいう「ペインボディ」、そしてさらにACT(アクセプタンス&コミットメ…

To Stay Present

To stay present in everyday life, it helps to be deeply rooted within yourself; otherwise, the mind, which has incredible momentum, will drag you along like a wild river. エックハルト・トールTVというウェブサイトに登録するとWeekly Present M…

私と世界をつなぐバタフライ効果

前回のブログにコメントを下さった方がおられ、その返信を書く中で様々なインスピレーションがありました。私が書いた返信の一部をここに抜粋しますと・・・ (以下抜粋) 極端に言うと、生きて何もせず、ただ呼吸をしているだけの人がいたとします。しかし…