ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

共同体感覚

楽観性を育むマトリックス

先日、わが子の結婚式があり、新郎の父としてあいさつする機会がありました。 接する機会が多いほうともいえず、良い父親とは決していえない立場ではありましたが、20数年を振り返ってみて、ともあれ楽観的な性格に育ってくれたことに感謝し、過去のエピソー…

マトリックスと共同体感覚

ケン・ウィルバーの『意識のスペクトル1・2』『アートマン・プロジェクト』『無境界』などを翻訳された吉福伸逸氏の遺稿でもある本書。『世界の中にありながら世界に属さない』というタイトリルに惹かれ、1年ほど前に購入しました。 そしてこの数日、再び目…

過去との共同体感覚

6月26日に「未来との共同体感覚」について書きましたが、今回は「過去との共同体感覚」について下記のブログにアップしました。 エスビューロー事務局長のブログ: 過去との共同体感覚 同じ内容をそのままこちらのブログにも以下に掲載します。 過去との共同…

なぜ「他者への関心」がうつに効くのか?(知縁カフェ予告編)

先日、私どものNPOが主催した岸見一郎氏の講演会で「他者への関心(social interest)」をもつことは、「うつ」に効果があるという話が聞かれました。 なぜ、アドラー心理学でいう「他者への関心」が、「うつ」に効いたりするのでしょうか? 来月から始まる…

未来との共同体感覚

NHKの「100分de名著」2月の放送は、昨今ブームのアドラーが取り上げられました。解説はベストセラー「嫌われる勇気」(135万部)の著者で哲学者の岸見一郎氏です。25分(番組)×4回=100分で名著を読み解いていきますが、その第4回のテーマは「共同体感覚」…

コぺルの鏡で、こころの闇から抜け出す

このブログでも過去に何回か取り上げたことのある清水博先生の作品『コペルニクスの鏡』いのちの居場所に、いのちを使う - ウィルバー哲学に思う を読み返していて、新たな発見や深く感じ入るところなどが多くありました。 今回はその序盤から少し紹介させて…

観察者としての自己による傾聴とヘルプ

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)でいう『観察者としての自己』にとどまる(ウィルバーの表現では”Rest as the Witness”)ことが、ヘルプしようとする人の話を聴く姿勢としてもたいへん望ましいものである、ということがわかりました。 …

いのちの居場所に、いのちを使う

ひと月ほど前に「コペルニクスの鏡」を読んだ。 とてもいい本だ。 この本は清水博先生が被災地の人たちに向けたメッセージをこめて物語として書いた本だ。 子どもでも読めるように、喩え話の力を使おうと物語にしたのだという。 コペルニクスの鏡のことを省…

ワークショップでの四象限の活用

昨日の小児がん喪失家族ワークショップは、子どもを喪失されてまだ半年程度の参加者の方が4名、2年経過した方が1人、4年の方が1名、10年前後のものがスタッフを入れて3人というメンバー構成で行われました。 私の役割はファシリテーター補佐といったところで…

「ネットでeクラス」が育む「私たち(We)」というスペース

毎日新聞のネット版である毎日JPに毎日教育eタウンというコーナーがあり、月に一回、小児がん経験者の学習コミュニティのことを投稿しています。本日更新されましたので下記にリンクしました。 http://www.v-schoolcity.net/ht/etown/voice_staff.html また…

心理社会的支援で見落とされるもの

いわゆる「小児がんの心理社会的支援」ということについて気がついたことがあります。たとえば患児に対するケアを考えた場合に、身体面の治療のみならず、心理面でのケア(メンタルケア)そして社会的な支援(ソーシャルサポート)を合わせて提供することで…

ゴスペル・クワイアの至高体験

「インテグラル理論と実践が自分にどう役立ったか」を考えていて、先週お会いしたhuman noteという団体の活動の源泉にマズローのいう「至高体験(perk experience)」があるのだという洞察は、ごく最近インテグラル理論が役立った事例の一つだとあらためて思…

慣習的な葬儀が苦痛である理由

子どもを小児がんで亡くした母親を対象としたアンケートを整理していて、あらためて葬儀が大きなストレスになっていることを認識しました。葬儀だけでなく49日までの法要であったり、納骨のことであったり、一連の弔いの行事全般が母親を中心とする家族に…

「私たち」(We)のない社会

NHKで「無縁社会」という特集を何回か見ました。一昔前であれば多くの人が地縁血縁という地域のコミュニティに帰属して「私たち」と言える居場所を得、一方ビジネスマンたちは会社というコミュニティで「私たち」という次元(AQALの左下We)を確保してき…

「私たち」という奇跡

ウィルバーのインテグラル・スピリチュアリティの第7章のタイトルは『「私たち」という奇跡』です。これは、AQALの左下の象限についてそれを内側から見たゾーン3と外側から見たゾーン4について書かれています。この象限についても一定の理解をしているつも…

もはや脅かされない

ウィルバーの「存在することのシンプルな感覚」P282 グレース&グリットからの抜粋である以下の部分を読んで、トーレの「Milton’s Secret」の最後の部分との共通性を感じました。 苦しみの原因は、切り離された個別の自己の欲求や執着にある。それを終わらせ…