https://www.athome-academy.jp/archive/space_earth/0000000243_all.html
・6000度以上になると水素は陽子と電子に分かれてしまいます。
・10億度の高温になるとヘリウムはじめすべての原子核は、それを構成している陽子と中性子に分解された状態だったといえます。
・1兆度ぐらいになると陽子や中性子もクオークに分解されてしまいます。
・つまり宇宙の初期はすべての物質が溶けて、ミクロの極限である素粒子のガスになってしまっている。(『宇宙はこうして誕生した』佐藤勝彦著p32)・ワインバーグ=サラム理論によって電磁力という弱い力が統一されましたが、さらに強い力、重力をふくめた四つを統一した理論(超大統一理論)が完成すれば、一つの力から相転移によって次々と力が生まれてきた、あたかも生物が進化するように力も進化して今日に至った、というシナリオが描けるのです。(同p37)・宇宙が始まって10のマイナス44乗秒後に最初の相転移が起こり、一つの力からまず重力が枝分かれします。…この時の温度をプランク温度といいます。そして10のマイナス36乗秒後に第二の相転移により強い力(色の力)が枝分かれを起こします。さらに10のマイナス11乗秒後に、第三の相転移が起こり、電磁気力と弱い力が分かれ、四つの力が誕生するわけです。このとき、温度は1千兆度Kにまで下がっています。(p38p39)アレキサンダー・ビレンケンは「無からの宇宙創成」という論文で、宇宙は無から生じたと論じて世界の物理学者を驚愕の渦に巻き込みました。…
常識的な古典的真空では、粒子がまったく存在しない空っぽの状態ですが、量子論では粒子がエネルギーゼロの地点の付近でゆらいでいる状態(物理的真空)ということになります。きわめて短い時間の間に、粒子が突然出現したり消滅したりと、「非存在」と「存在」との間を揺れ動いているのです。“無”の概念は、真空の考えをさらに深め、物質だけでなく空間すらない状態をさします。そこでは、空間すら「非存在」と「存在」の間をゆれ動いているのです。…
そんな鍋の中でふつふつと煮立った湯の気泡のような量子論的な宇宙が、あるとき「トンネル効果」によってポロッと生まれたというわけです。
トンネル効果とはビッグバン理論のガモフが1928年に「アルファ崩壊の理論」で論じた、原子核からアルファ粒子がポンと飛び出す現象のことで、…極微の世界では珍しくないことです。(p41-42)生まれたときに10の34乗分の1センチという、素粒子よりはるかに小さかった宇宙が、…とてつもなく短い時間に起こった異常膨張によって、宇宙は1センチ大の大きさになります。
この急激な膨張は、生まれたばかりの宇宙が持つ固有の力―「真空のエネルギー」によるものです。先に、量子論では無もゆらいでいるといいました。これが物理的な真空です。そこでは粒子と反粒子(物質と反物質)が生まれては消滅しています。粒子と反粒子を生み出すにはエネルギーが必要です。したがって、生まれたばかりの宇宙は、無の状態から物質を生み出すエネルギーがつまった真空状態だったと考えられます。この真空エネルギーが宇宙を急激に押し広げるのです。
この真空エネルギーをアインシュタイン方程式に代入してやると、空間に対する「斥力」(万有引力の反対の力)が宇宙を急激に膨張させることが導き出されます。(p42-44)宇宙が急激に膨張すれば、密度がそれだけ低くなるわけで、温度が急激に下がり、いわゆる「過冷却」と同じ状態になります。水が氷に変化する現象が「相転移」であるとお話ししましたが、摂氏0度で一気に氷になるのではなく、マイナス4度になって初めて氷になります。これを過冷却といいます。宇宙も急激な冷却で「相転移」を起こします。
真空のエネルギーは宇宙がどれほど膨張しても薄まることはありません。宇宙が持つ固有の力なので、体積当たりのエネルギー密度は一定です。したがって、宇宙が膨張すればするほど真空のエネルギーも増大して行きます。そして宇宙が「真空の相転移」を起したとき、水が氷になる時に熱を放出するように、膨大な量の潜熱を解放するのです。急激な膨張で「過冷却」状態になっていた宇宙は、この潜熱による熱エネルギーで超高温の火の玉となって、「ビッグバン」を開始するわけです。(p44-45)
量子論的にいうと、真空とはまったくの空っぽなのではなく、粒子が生成消滅を繰り返し「ゆらいで」いる空間である。
この「真空のエネルギー」は、まったく不思議な存在で、インフレーション理論のかなめとなっています。
こうして禅は、すべての存在者から「本質」を消去し、そうすることによって全ての意識対象を無化し、全世界をカオス化してしまう。しかし、そこまでで禅はとどまりはしない。世界のカオス化は禅の存在体験の前半であるにすぎない。一たんカオス化しきった世界に、禅は再び秩序を取り戻す。