ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

マインドフルネス

マインドフルネスで包んだ後にくる洞察

ティクナットハンの「怒り」(岡田直子訳)を読んだ。 とても得るところが大きかったと思う。 恐れや怒り、不安、悲しみなどネガティブな感情(心的構成物)にどう向き合うか?が書かれていた。 その向き合い方はどの感情も同じだが、この本では特に人間関係を…

五蘊その4「行」―Mental Formations

自分のつくり出している「メンタル・フォーメイション」に気づく 五蘊の4番目は「行」です。英語ではMental Formationsと表現されています。まずは、Ayya Khemaによる「行」の解説です。(“Being Nobody, Going Nowhere”p122) (以下引用拙訳) さらにまた…

五蘊その3「想」―Perception

記憶によって条件づけられる知覚 「色(しき)受(じゅ)想(そう)行(ぎょう)識(しき)」という五蘊について順に見ております。今回は三番目の「想」です。 まずは、Ayya Khemaによる解説を見てみましょう。(以下、引用拙訳) 次に、私たちを構成してい…

五蘊その1(色)―Body

苦しみの根本は、五蘊の本質である無常、無我(nonself)、相互依存性を理解することの欠如によるものである、とThich Nhat Hanhは書いています。 今回からAyya KhemaとThich Nhat Hanhによる五蘊の解説をひとつずつ取り上げ、吟味したいと思います。 今回は…

「焦り」と対極にある「道」

昨年末、年賀状に個人的な関心領域の近況を何と表現しようかと考えて「プライベイトでは相変わらず『道』を探究していますが・・・」と書いた。 この『道』は老子の「道徳経」で語られる「道」に近いイメージで書いたのだが、最近、ミンゲールやティクナットハ…

心の部屋に灯りをつけるマインドフルネス

ミンゲールのJoyful Wisdom(邦訳書は未刊)の第2章に、パリのろう人形ミュージアムでのエピソードが書かれている。 ダライ・ラマのろう人形の隣に立っていたミンゲールを、ろう人形だと思い込み、ダライ・ラマとのツーショットの写真を撮ろうとした観光客…

調子を良くする「おーとっと」

年末から、自分にとって尊い(?)感覚をいくつか思い出していた。 中学の頃、卓球をしていた時のあの感覚。腹が入っていて、どこに打って来られても返せる感覚。映画「フォレスト・ガンプ」の卓球のシーンを見ると思い出す。そんな感じ、そんな感じだ。 小…

Milton's Secretと「二本の矢」

エックハルト・トールが子ども向けに書いたMilton’s Secretという絵本があります。ベストセラーThe Power of Nowのエッセンスがたいへん分かりやすく書かれているので、子ども向けにもお勧めなのですが、そこで主人公のMiltonが気づくことと、小児がんのサバ…

行為のさなかに在る自分に気づく

前回のブログでポスト・トラウマティック・グロースを達成する上で、苦悩をPTGに導くために「気づき」は極めて重要なもののひとつであることを見ましたが、それはエニアグラムの理論にも合致するといえます。 「エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ」の原…

性格とは心の鎧、とらわれず乗りこなす

京都でのケンウィルバー勉強会の5回目に「タイプ」の学習としてエニアグラムが取り上げられる予定になっていることから、「エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ」(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著 角川書店)を読みました。 これがなかなかに…

ネガティブな瞬間にこそ実践を選択する能力

「実践インテグラルライフ」(春秋社)のP477からP480にある「シンプルさを保て」という節に目を通し、大変興味深いと感じました。原著の「Integral Life Practice」ではP362からP364に対応しています。著者が喫茶店でアルバイトをしていた時の実例も描写され…

Integral Nutrition これでダイエットに挑戦?

私も何とか5キロ体重を落としたいと思っているほうですが、これを読んで4〜5日まえから少しやる気になってきました。狩猟採集民として遺伝子レベルでも身についてしまっている習慣を変える挑戦です。(大げさですか…) 今日は、ILPのIntegral Nutrition p165…

「意識的」が「習慣的」から解き放つもの

まさに、我が意を得たり、の文章がILPのp353のエネルギーと注意を解放す(Free Your Energy and Attention)に書かれていました。今年の抱負として掲げた「気づくだけ」をよりイメージしやすくなりました。 しかもこれほどの成長と変容をもたらすものであっ…

気づくだけ Brief moments are just fine

いつだって 気づくだけ♪とは、平原綾香の歌うCircle Gameという曲で繰り返されるサビの部分の歌詞ですが、今年の抱負はまさに「気づくだけ」で行こうと決めました。 年末から年始にかけて、あれこれと思いを巡らせては、一念発起したいような衝動が、どうし…

3-2-1 Shadow Process+目撃者

ウィルバーのIntegral Life Practiceのコア・モジュールの1つであるシャドウ・モジュールを読み終えました。読み応え、十分!という感触です。 前半は、影の説明と3-2-1 Shadow Processを使ったシャドウ・ワークが、3つの具体例を織り交ぜながら解説されて…

Meditation Practiceその1 呼吸瞑想

ILPのスピリット・モジュールではMeditation Practicesとして5つの瞑想が紹介されています。そこではまず以下の書き出しから始まり、簡単に5つの瞑想が示された後、各々の瞑想が詳しく示されています。今回はその書き出しの部分とすべての瞑想の基礎ともいえ…

ネガティブな感覚を気づきのサインとして役立てる

「気になること」などがあると、考えていないつもりでも、そのことが無意識に心の一定の容積を占めていることがあります。そんな時は、どこか緊張したり、少し胸がしめつけられたり、自己収縮のネガティブな感覚があります。 一般的な反応もしくは対応として…

思い出してきた、「今ここ」の感覚

Eckhart TolleのThe Power of NOWを読んでいて、「今ここ」にあるときの感覚として「ぴったりと静止している」と書いてあるところ(和訳p96)があり、その部分を読んでからある感覚を思いだしました。 わたしは中学、高校と卓球をしていたのですが、その卓球…

「気をとられている」ことに気付く、ことから

訳者の松永太郎さんがケンウィルバーの「存在することのシンプルな感覚」のあとがきで次のように書かれていますところがあります。 “Presence”とは「現前」と訳されるが、それは「今、ここにいる」ということである。日本語では「気をとられる」というが、私…

朝の静止

瞑想をしていました。 朝,目覚めの気分があまり良くなかったので、はじめは ねころんだまま、いつもの額の軽い圧迫感を意識しました。 心地よい圧迫感が戻ってきました。 静止の感覚です。 頭がしゃべっていることに気づきます。 気づくと目を閉じているんで…

無意識の思考に気づく

2007年03月03日(土)のブログ「呼吸を日常生活の気づきに利用する」でも少し触れていますが、無意識に頭がしゃべっている、その思考に気づくこと、気づきを入れることがとても大切です。 忙しい時ほど、あるいは追詰められた時ほど、気づきを入れるべきでしょ…

自分の見解に同一化しない

目撃者にとどまり、自分のエゴをみることは頭で思うほど簡単ではありません。 特に、対人関係のなかで生じ、大きな感情が揺れ動くようなケースではそのエゴが始動を始めたところに、すかさず気づきを入れることはなかなかできないものです。 トーレのニュー…

呼吸を日常生活の気づきに利用する

実践ヴィパッサナー瞑想「呼吸による癒し」の第6章日常生活と共に呼吸する、を読んでいて「ああ、やっぱり私が高校時代に経験したことのある、あのやり方でいいんだ」とあらためて思いました。 特に関心を引いたのはこんな文章です。 (以下引用)呼吸は現在…