ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

人類進化から見た本来の育児は「共同養育」

昨日(12月7日)のNHK朝ドラ「べっぴんさん」を見ていて、あーこれは「共同養育」のことを言っているなと思いました。

喜代:どうしても手のかかる子はいます。いい悪いやなくて、人の何倍も手のかかる子はいるんです。
昭一:どうしたらいいんでしょう?
喜代:何倍も手をかけたらいいんです。周りに大人がいっぱいいますやろ。誰が親やというのやなくて。手をかけて育てていけばいいんです。
(場面変わって)
すみれ:みんなで手をかけて育てていきましょう!
(こんな感じだったと思います)

少し前に「ママたちが非常事態!?」というNHKスペシャルがありました。最新の科学で子育てにまつわる問題を明らかにし、大きな反響があり続編も放送された番組です。

NHKスペシャル ママたちが非常事態!? ~最新科学で迫るニッポンの子育て~

その中で、アフリカはカメルーンで狩猟生活を営むバカ族の人々の子育てにスポットあてたシーンがあります。

彼らは集団生活を営んでおり、女性も、そして子どもを産んだ母親も採集のため森に入っていきます。

まだ幼い乳飲み子はどうするかというと、村に残る他の母親や女性に預けるのです。

こうしてみんなで子育てします。共同養育です。

チンパンジーは5年に1匹の割合でしか子どもを出産しません。その理由は生んだ母親がいつも一緒に子育てするためです。5歳になるまでそうすると言います。

しかし人間(ホモ・サピエンス・サピエンスである私たち)は、毎年子どもを産むことができ、飛躍的に人口を増やすことができました。

これは仲間で助け合って子どもを養育するシステムのおかげだということです。

現生人類は協力し合って大型動物を狩猟し、助け合って子育てをすることで食物連鎖の頂上に立てたのでした。そうした遺伝子が組み込まれています。

ですから一人で子育てをするというのは人類進化的にみて無理があるのだということです。

孤立感を感じ、不安で仕方なく、精神的にまいってしまうことが起こるのはある意味当然なのだということです。(実に7割の母親が孤立感をもっているといいます)

そういえば…私自身も年少の頃は、両親だけでなくおじやおばに手をかけてもらって育ったことを思い出しました。

こうした共同養育こそ本来の育児の姿だったのだという知識と価値観が浸透していくなら、2060年に人口が8500万人になるとも予想されている超少子化の進行に、いくらか歯止めがかかって行くかもしれません。

そんなことを思ったので書き留めました。