ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

気づくことによって、超えて含む

 

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インテグラル心理学』(ケンウィルバー著、門林奨訳)

昨日届いた『インテグラル心理学』をパラパラめくり 

 

そうそう、前回の稿で言いたかったのはこれだ!と膝をたたいた 

 

すべての治療法に共通している事柄はあるのだろうか? 

 

…答えはイエスである。それはすなわち 

 

気づくこと(Awareness)には、それ自体として、治療効果がある ということである 

 

 と書かれている。 

 

見たくないものを見ようとせず、逃げてはいけない、避けてはいけない 

 

そうしたくなっている心に気づくこと 

 

数年前、フランクルをテーマにした京都のシンポジウムで 

 

「気づくということだけでも苦悩を乗り越える助けに、少しはなるのではないでしょうか?」 

 

と問うたことがあった。 

 

その時はそれ以上、議論が深まらなかったのを残念に感じた。しかし 

 

物質から身体、心、魂、そしてスピリットへと至る大いなる移行のプロセスのなかで 

 

どの段階においても、意識の何らかの側面が切り離されたり、歪められたり、無視されたり する可能性がある。 

 

 そうした領域に気づき(Awareness)を向けることができれば 

 

そうした側面を自分自身から差異化させる(超える)こと、そして自分自身の中に 統合する(含む)ことが可能になる。 

 

 見たくない自分の側面に気づきをもって出会うこと 

 

気づくことによって、「超えて含む」のだ! 

 

 

※引用は『インテグラル心理学』p260~p263より。