ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーにはじまり、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラーなど、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、心理哲学的な関心について綴っています。

ソーシャルビジネス、NPOの経営戦略

 日本政策金融公庫のメルマガに「NPO経営戦略10のステップ」というものを株式会社PubliCo代表の山元圭太氏が紹介されていて興味深かったので適用してみたいと思います。

まず、10のステップとは以下のA~Jです。

Ⅰ.社会を変える計画
  A.組織使命(Vision/Mission)社会に何を生み出す存在か?
  B.問題構造(Theory of Problem)どんな問題構造になっているか?
  C.問題解決仮説(Theory of Change)どうそれば解決するのか?
  D.役割定義(Position)どんな役割を担うのか?
Ⅱ.事業計画
  E.成果目標(Key perfomance indicators)
  F.必要資源(Budget)
  G.資源調達(Fundraising)
Ⅲ.実行計画
  H.組織基盤(Organization)
  I.実践実行(Action)
  J.カイゼン(PDCA)

事業起点ではなく社会起点であり、「社会を変える計画」というものが、まずはじめになくてはならないといいます。まったく同感です。


ということで、私が関わっている小児がん経験者・家族支援のNPOを念頭に置いてAからDまでを簡単に整理してみました。

A.組織使命(Vision/Mission)社会に何を生み出す存在か?

小児がんインクルーシブの実現」(みんな違って、みんないい by 金子みすず
小児がん経験者・家族がエクスクルーシブ(排除)されない社会の実現〉


B.問題構造(Theory of Problem)どんな問題構造になっているか?

・入院、復学、進学、就職、結婚というライフステージを経るごとに次第に孤立しやすいという現状。
・晩期合併症や治療の影響によって心身の「障害」が「活動」の制限につながり「参加」を制約してしまう傾向(ICFモデル参照)。
・病気と治療に関する正しい知識と適切な配慮が学校や職場で欠如(ICF環境因子)。
・「障害」があっても「参加」を実現するための戦略の不在(ICF個人因子)。

ICFとはInternational Classification of Functioning, Disability and Healthの頭文字をとったものでWHOが2001年に定めた人々の健康状態や傷害などの分類方法のこと。国際生活機能分類と訳され「人が生きることの全体像」を表す、とされている。

ICFモデルはこのような図で全体像を示します。

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C.問題解決仮説(Theory of Change)どうそれば解決するのか?

・学校(教員、生徒)をはじめ社会の理解を深める啓発活動が増え、合理的配慮など適切な配慮が実現され、互いに共同体感覚を育くんでいける。
小児がん経験者個々のケースに応じて、「参加」を促進する個別支援計画(ICFモデル)が作成され、「参加」の様々な機会が確保されること。


D.役割定義(Position)どんな役割を担うのか?

小児がん脳腫瘍全国大会を通じた啓発
・当事者は晩期合併症などへの適切な対応(医学的、心理社会的)を学ぶ。
・学校や関係者に対しては小児がんの理解を深める啓発活動を行う。

②「いのちの躍動」を発見し参加へと育てる。
音楽、運動、園芸、アートなどのアクティビティを実施することで、彼らの「参加」機会を四季を通じて確保し、何に「いのちの躍動」を感じるのかを発見する。

③個別相談のプロセスを通じて「よりよく生きる」ための個人戦略を提示する。
対象者のICFモデル(これは「障害」があっても「参加」を実現できる個人戦略体系である)を作成していく。