ウィルバー哲学に思う

「統合」の哲人ケン・ウィルバーを中心に、仏教心理学的視点を取り入れたマインドフルネス、第三世代の認知行動療法ACT、アドラー、ポジティブ心理学など、複雑系や脳科学的なアプローチも加味し、「生命の躍動」の探求、心理哲学的な関心について綴っています。

2010-01-01から1年間の記事一覧

The Power Of Now は水平的Enlightenment

Eckhart Tolleは私も好きで過去に何回かこのブログでも取り上げています。その著作「The Power Of Now」や「Stillness Speaks」そして「A New Earth」などはウィルバー哲学を理解する上で大変役に立ちました。そうしたこともあって以前からウィルバー(ある…

Unique Selfのために「葛藤を持ち寄る」

今回はMoralのラインを取り上げたいと思います。まず慣習というものを一つの基準としてそれに合わせることのできる前の段階、慣習に合わせる段階、そして慣習を超えていく段階に大きく分類したコールバーグによる道徳性発達段階がよく知られています。そして…

私とは誰か?自己同一性のライン

今回はインテグラル理論の発達ラインの中の自己同一性(セルフ・アイデンティティ)のラインを取り上げたいと思います。 LeovingerとCook-Greuterがその研究者として名前が上がっていたので、探していたらクイーンズ大学の心理学のサイトの中にコンパクトに…

実存的能力

実存的な能力については、ガードナーのいう多重知性の9番目の知能の候補であるExistential Intelligenceのことを4月14日のブログで取り上げました。 そして、先月末に出版された「インテグラル理論入門Ⅰウィルバーの意識論」(春秋社)の「第7章 インテ…

風船モデル

感情とどう付き合うか?を考えていて、イメージとして出てきたのは風船です。 話した言葉、口に出した会話を図で示す場合に吹き出しが使われますが、心の中で思ったことなどの吹き出しには泡型の吹き出しが使われます。 例えば不安のようなネガティブな感情…

Emotionalのラインはシャドウ・モジュールで伸ばす

今回はEQを取り上げようとして、ゴールマンの”Emotional intelligence”邦訳「EQ こころの知能指数」を購入し、その他にもウィキペディアやEQジャパンのウェブサイトなどに目を通しました。前回のInterpersonal知性で取り上げたセルマンのような明確な発達…

Interpersonal知性と、セルマンの役割取得能力

「VIFによる思いやり育成プログラム」という渡辺弥生さん(編)の本が届きました。ウィルバーのAQALインテグラル理論にあるInterpersonalの発達ラインの主要な研究者として名前が挙がっているセルマンの「役割取得能力の発達段階」の本「(邦訳)ペア・セ…

発達ラインと多重知性

ケン・ウィルバーのAQALインテグラル理論では、象限、レベル、ライン、状態(States)、タイプという構成要素があります。このうち四つの象限と5つのラインを使って最近ある報告をまとめたのですが、少々自分の中で混乱している点を確認しました。今回はその…

Integral Nutrition これでダイエットに挑戦?

私も何とか5キロ体重を落としたいと思っているほうですが、これを読んで4〜5日まえから少しやる気になってきました。狩猟採集民として遺伝子レベルでも身についてしまっている習慣を変える挑戦です。(大げさですか…) 今日は、ILPのIntegral Nutrition p165…

当然…ではなかったとき。実は当然などなかった。

私たちは、いろいろなことを「当然」と思っています。 当然、遅刻しないだろう。 当然、覚えているだろう。 当然、結婚しているはずだ。 当然、もうすぐ出て来るだろう。 当然、もうついている頃だ。 当然、生きて帰ってくるだろう。 などなど。 しかし、当…

Awareness、inhabitで脱habitual

以前のPresenceというタイトルのブログでIntegral Lifeのための5つのSkillについて触れました。それは以下の5つのスキルでした。 Presence Awareness Perspective Attention Discernment このうち、今日は2つ目のスキルであるAwarenessを取り上げてみたい…

「意識的」が「習慣的」から解き放つもの

まさに、我が意を得たり、の文章がILPのp353のエネルギーと注意を解放す(Free Your Energy and Attention)に書かれていました。今年の抱負として掲げた「気づくだけ」をよりイメージしやすくなりました。 しかもこれほどの成長と変容をもたらすものであっ…

非‐時間、非‐空間としての「今、ここ」

眠る前にいつものように「存在することのシンプルな感覚」を読み返していて、「ここはちょっとマークしておかないと」と思い、さらに翌日、「そうか分かりやすいな、ここ」「原文はどう書かれているのかな」「いままで見たなかで一番完璧な『今、ここ』の説…

拡張する気づき

ILPのコアモジュールの総括のような部分が、P347から書かれています。毎日、ILPの実践を継続していくことの変化が「拡張する気づき」と表現され、一度に四つのモジュールに目を通せます。まずはその部分の訳を紹介します。(以下抜粋、拙訳) あなたが規則的…

Openness

空性(Emptiness)を理解するうえで、目撃者(Witness)や現前(Presence)と並んで、よく出てくるキーワードはOpenness(開け)です。以下にILPの中から、私が「開け」と訳したところを何箇所か抜粋してみました。 P221 あなたとは見者であり、あなたの中の…

「私たち」(We)のない社会

NHKで「無縁社会」という特集を何回か見ました。一昔前であれば多くの人が地縁血縁という地域のコミュニティに帰属して「私たち」と言える居場所を得、一方ビジネスマンたちは会社というコミュニティで「私たち」という次元(AQALの左下We)を確保してき…

Presence

Presenceという名詞は「現前」、Presentという形容詞は、「現前の〜」「現前する〜」あるいは「いまここにある〜」と訳したりしています。 以前は、このPresenceがどういう意味かよく分かりませんでした。英語では贈り物をするという動詞の意味のPresentの方…

Hara そして、小宇宙の軌道

前々回に取り上げた3-Body WorkoutはIntegral Lifeのウェブサイトでfreeの映像としても見ることができますが、ILPの文章の方からそのポイントを抜粋すると次のようになっています。まずは、前々回の続きです。(以下抜粋拙訳) Step2: Energizing the subtle…

目撃者の視点を常に保つ Running as the Witness

前回のブログで取り上げたthe 3 Body Workoutでcausalなボディを一定に保ち、その上にsubtleボディとgrossボディを乗せていく一連の流れをみましたが、一体それはどんな感じかをもう少ししっかりとインプットしたくて、思いを巡らしました。動きを伴いながら…

The 3-Body Workoutの非二元ポイントアウト

ILPの中でも主要な実践、ボディモジュールのthe 3-Body Workoutをまだ取り上げていませんでした。これはウィルバーのIntegral Visionでも1分間モジュールがヴィジュアルに紹介されており、組み立ても、ボディモジュールとスピリットモジュールを包括するよう…

クリントンの記事から

昨年12月に米国元大統領ビル・クリントンが語った内容が掲載された Bill Clinton discusses Ken Wilber in recent Foreign Policy interview というブログの記事をIntegral lifeのウェブサイト内に発見しました。 "I was influenced by Ken Wilber's book A …

気づくだけ Brief moments are just fine

いつだって 気づくだけ♪とは、平原綾香の歌うCircle Gameという曲で繰り返されるサビの部分の歌詞ですが、今年の抱負はまさに「気づくだけ」で行こうと決めました。 年末から年始にかけて、あれこれと思いを巡らせては、一念発起したいような衝動が、どうし…

Compassionate Exchangeはトンレンだった!

ILPのスピリット・モジュールで紹介されている5番目の瞑想の名称はCompassionate Exchangeです。単語だけから勝手にイメージし、あまり興味がもてず後回しにしていました。しかし、以下に紹介するように5行、10行と訳が進むにつれて、あれ、これって・・・トン…

感情に気づきエネルギーに昇華させる

前回取り上げたTransmuting Emotionのプロセスでは、シャドウになっていない本来の感情を変換する5つの手順が示されていました。簡単におさらいしてみますと、 気づく→ 緩和する → 中にある → 呼吸 → 昇華 となります。まず、青空を流れる雲のように、意識の…

3-2-1 Shadow Process+目撃者

ウィルバーのIntegral Life Practiceのコア・モジュールの1つであるシャドウ・モジュールを読み終えました。読み応え、十分!という感触です。 前半は、影の説明と3-2-1 Shadow Processを使ったシャドウ・ワークが、3つの具体例を織り交ぜながら解説されて…

青い鳥の完璧なシャドウ・ワーク

あけましておめでとうございます。 年末から年始にかけて直木賞作家である重松清原作の映画とドラマを立て続けに見ました。 まず、『青い鳥』 吃音の村内先生が臨時教師でやってくる。その中学校のクラスではいじめがあって、いじめられていた野口君は自殺未…